火車 – 宮部 みゆき (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 2 分


火車火車

休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。
自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して―なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?
いったい彼女は何者なのか?
謎を解く鍵は、カード会社の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。
山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。

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書評・レビュー・感想

クレジットカードにまつわる経済小説でもあり、謎が謎呼ぶミステリー小説でもある本書は、「人物の同定」が鍵となり、物語は、少しずつ闇の方角へと深まっていく・・・

捜査で、ある人間について聞き込みに歩くとき、必ずすることはなんだ?
人物の同定だ。
あれこれ質問を続けたあげく、人違いだったというような間抜けなミスをしないために、最初に確かめる。
名前と顔が一致しているかどうか。
わずかなひっかかりだ。八重歯の一本や二本、どうということもない。和也が言わなかっただけかもしれない。
それでもどんなに馬鹿らしいと思っても、ひっかかった以上は確かめておいた方がいい。
その習癖があるから、それが本能のように身についているものだから、自分は、昨夜和也が彰子の写真を持ってこなかったことを迂闊だと思った。
今井事務機で彼女の履歴書をコピーさせてくれと頼んだ。写真が、彼女の顔がほしかったからだ。
「申し訳ない、あとひとつだけお願いします」
あの履歴書を取り出し、弁護士に差し出した。
「関根彰子さんは、この顔写真の女性ですね?」
溝口弁護士は履歴書を見た。本間が十数えるあいだ、じっと見つめていた。
その凝視の長さに、悪いほうの直感があたったのだとわかった。
まさか。
短期間で、まるで別人のように。
「違います」
ゆっくりとかぶりを振り、にわかにそれが汚いものに変わったとでもいうかのように、履歴書を本間の手に押し返しながら、弁護士は言った。
「この女性は、私の知っている関根彰子さんではありません。会ったこともない。誰だが知らないが、この女性は関根彰子さんじゃありませんよ。別人です。あなたは別人の話をしている」

クレジットカードを持っていますか?
幸せが買える魔法のカードです。
錯覚という名の幸せを。
さぶイボ間違いなし。
読者を悶々とさせる最後に陥落。

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