古伊万里・染付― NHK美の壷 (書評・レビュー・感想)

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古伊万里・染付―NHK美の壷古伊万里・染付―NHK美の壷

ぼってりとした肌合いの初期伊万里、そして人気の高い唐草文様の器。
名もなき工人たちと、幾星霜を超えて現代に伝えた愛好家たちの、その心に迫る4つの「ツボ」を紹介。NHKテレビ番組「美の壺」を書籍化。
ふっくら、ぼってり、とろっとしたなどの表現がぴったりの初期伊万里。
そして技術が頂点に達した17世紀、18世紀の古伊万里。

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書評・レビュー・感想

砂糖菓子のようにふっくらとした白と表現される「古伊万里」。
釉薬がたっぷりのせられているためやわらかい肌触りと言われる「古伊万里」。
磁器である伊万里焼のはじまりは1610年代の肥前とのことで、それ以前は陶器づくりも行われていた。
陶器より硬くて白い磁器はより高度な技術が必要なため、それ以前には日本の技術力では作れなかったようだ。
壱のツボ初期伊万里は指跡のぬくもり
指跡は、作者の痕跡であり、ゆがみは陶工の息づかい。
初期のころの伊万里焼は、焼き方が未熟だったため、指跡が残っているらしい。
そして染付けも、当時のセンスが拙い技法ではあるが盛り込まれているとのことで、初期伊万里といわれるものは、指跡や素朴な古拙の美を楽しむのがいいとのこと。
弐のツボ青は枯淡を味わえ
おぼろげで、はかない表現を醸し出す青。
にじみの青を味わおう。
古伊万里と並び称され、お手本でもあった景徳鎮。
古伊万里と景徳鎮では、染付けの青がはっきりと違う。
古伊万里の青は、水墨画を思わせる青のにじみ。青が白に溶け出し、ぼやけている。
対して、景徳鎮は、青が白の上にくっきりとした輪郭を見せている。
この違いを出しているのが「釉薬」。釉薬に入っている「灰」の違いなのである。
この景徳鎮やマイセンになり独特の青を楽しむのがいいとのこと。
参のツボ白は濁った米のとぎ汁
独特な味わいの白も重要なポイント。
古伊万里の独特な白は、土の配合を研究するなどの工夫に工夫を重ねた上にできた。
この米のとぎ汁に近い乳白色は、「濁手(にごして)」と言われる。
濁手は、泉山磁石、白川山土、岩谷川内の石を混合して作られるが、石の性質が異なるために成形が難しく、焼成した際の収縮率の違いから割れてしまうことも多く貴重らしい。
四のツボ唐草は線を見よ
唐草は、昔は窓絵と窓絵の間、裏面の白いところを埋めるための埋め草、脇柄だったが、元禄の頃からメインに昇格し人気をはくしたとのこと。
今の技術では当時の精緻な唐草文様を描くのは難しいと言われ、職人の技に支えられた文様を楽しむのがいいとのこと。
18世紀から作られた唐草文様の古伊万里なら 2~3万円程度で手に入れられるとのことで、ちょっと興味あり。
やはり日本人には、はっきりとした色合いと図柄よりもぼやけた、ずれたり、濃淡があったりするものが好まれるのだろう。にじみなんてまったく同じにじみを作るなんて無理。まったく同じでない、それぞれ違った風合いを味合うのが日本人にあってるんだなあ~と改めて思った。

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