ヤバい経済学 – スティーヴン・D.レヴィット (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 5 分


ヤバい経済学 ─悪ガキ教授が世の裏側を探検するヤバい経済学

序章 あらゆるものの裏側
第1章 学校の先生と相撲の力士、どこがおんなじ?
第2章 ク・クラックス・クランと不動産屋さん、どこがおんなじ?
第3章 ヤクの売人はどうしてママと住んでるの?
第4章 犯罪者はみんなどこへ消えた?
第5章 完璧な子育てとは?
第6章 完璧な子育て、その2 あるいは、ロシャンダは他の名前でもやっぱり甘い香り?
終章 ハーヴァードへ続く道二つ

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書評・レビュー・感想

著者のスティーヴン・D.レヴィットは、「道徳が私たちの望む世の中のあり方についての学問だとすると、経済学は実際の世の中のあり方についての学問だ。」と言う。
学校の先生のインチキにしろ、相撲の八百長にしろ、不動産屋にしろ、本書が扱っているテーマは身近であるが、アプローチ方法がとても面白い。
経済学ってこういうところで使えるツールなんだーって思う。
もちろん個別の話も非常に面白かったが、個人的におっと思った箇所が何ヶ所かあった。
以下の「リスクの見積り」がそのひとつだ。

本質的な事実として、人が怖がるリスク要因と人を殺すリスク要因はまったく別なのです。

これは、「ものすごく恐ろしいけどめったに起きない」リスクと、「ものすごくよくあるけどそんなに怖くない」リスクの話である。

リスク = 危険 + 恐れ。
危険は大きいが恐れは小さい時、人の反応は控えめです。
危険は小さいが恐れは大きい時、人はオーバーな反応をするのです。

「危険」自体を変化させることは難しいので、リスクコントロールとは、人の反応をコントロールすることであり、それはつまり、「恐れの抑制」か「恐れの煽り」であるということ。
非常に参考になった。
もうひとつおっと思ったのが「回帰分析における相関関係と因果関係」についてだ。

回帰分析は、相関関係は示してくれるが因果関係は示してくれない。煎じ詰めると、2つの変数が相関するにはいろいろな形があるのだ。XがYを起こしているかもしれない。YがXを起こしているかもしれない。別の要因があってそれがXとYの両方をおこしているのかもしれない。回帰分析だけでは、寒いから雪が降るのか、雪が降るから寒いのか、それとも2つ一緒に起こることが多いだけかはわからない。

2つの物事が相関しているからといって一方が他方の原因だとは限らない。相関は単に2つの物事には関係があると言っているだけで、関係の方向については何も言っていない。

これについて例がいくつか出されていた。
犯罪が多い都市には警官も多い傾向がある。
つまり、「犯罪の数」と「警官の数」には相関があるといえる。
しかし、「警官の数が多いから犯罪が多いのだ!」といえるだろうか?
また、昔話も例に出されていた。
ある王様が国中で疫病が一番よく起きる地方には医者も一番たくさんいると聞きました。
王様がどうしたかって?
すぐさま医者をみんな撃ち殺せ!とお触れを出しましたとさ。
子育てについて著者が回帰分析を行った結果を公表している。
この結果ははじめは、びっくりするかもしれないが、よくよく読むととてもまっとうだと思う。
以下がその親と学校の成績の相関について述べた部分である。

学校の成績と相関している8つ
 ・親の教育水準が高い。
 ・親の社会・経済的地位が高い。
 ・母親は最初の子どもを生んだとき30歳以上だった。
 ・生まれたとき未熟児だった。
 ・親は家で英語を話す。
 ・養子である。
 ・家に本がたくさんある。

それから相関していない要因8つ
 ・家族関係が保たれている。
 ・最近よりよい界隈に引っ越した。
 ・その子が生まれてから幼稚園に入るまで母親は仕事に就かなかった。
 ・ヘッドスタート・プログラムに参加した。
 ・親はその子をよく美術館に連れて行く。
 ・よく親にぶたれる。
 ・テレビをよく見る。
 ・ほとんど毎日親が本を読んでくれる。

ちょっとオーバーな言い方をすると、1つ目のリストにあがっているのは親が “どんな人か” だ。
2つ目のリストにあがっているのは親が “何をするか” だ。
いい教育を受けていて、成功していて、健康な親御さんのところの子どもは学校の成績もいい。でも、子どもを美術館に連れて行ったりぶったりヘッドスタート・プログラムに行かせたり、よく本を読んでやったりテレビの前に座っているのをほっておいたりなんてことは、どうやらあんまり関係ないみたいだ。子育てのワザに取り付かれ、パラノイアになった親や子育て専門家に聞かせてやれば目が覚めるかもしれない。現実には、ああいうワザはもてはやされすぎている。
でも、だからといって親が関係ないってことじゃない。もちろん親はものすごく重要だ。それがとても難しいところだ。つまり、親御さんが子育ての本を手にするころにはもうぜんぜん手遅れになっている。大事なことはずっと前に決まってしまっている。
あなたがどんな人で、どんな人と結婚して、どんな人生を歩んできたか、そういうことだ。
あなたが賢くてよく働いてよく勉強してお給料も高くて、同じぐらいよくできた人と結婚したら、あなたのお子さんも成功する可能性が高いでしょう。でも、あなたが親として何をするかはあんまり大事じゃない。大事なのは、あなたがどんな人かなのだ。

重要なのは、「親が何をするか」ではなく、「親がどんな人か」という結論。
当たり前そうで当たり前じゃない。
現在の社会的通年としては逆の説の方が信憑性があると思われている。
でも私はこの結論の方が正しいように思う。

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