日本の路地を旅する – 上原 善広 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 2 分

中上健次はそこを「路地」と呼んだ。「路地」とは被差別部落のことである。自らの出身地である大阪・更池を出発点に、日本の「路地」を訪ね歩くその旅は、いつしか、少女に対して恥ずべき犯罪を犯して沖縄に流れていった実兄との幼き日の切ない思い出を確認する旅に。大宅壮一ノンフィクション賞受賞。

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書評・レビュー・感想

著者の本は、以前、「被差別の食卓」で読んだことがあり、なかなか面白かったので、ノンフィクションの賞も取っている本書を読んで見ようと思った。
被差別部落出身の著者が、日本中の部落を歩くというノンフィクション作品である。登場するのは、青森、秋田、東京、滋賀、山口、岐阜、大分、長野、佐渡、対馬、鳥取、群馬、長崎、熊本、沖縄である。非常に濃厚な私小説のような作品である。
著者が歩いた多くの部落では、被差別部落自体がなくなってしまっている地域や、あったとしても混住が進んで、ほとんどの人がわからない場所も多く、昔のような差別がある地域というのはかなり減少していることがわかる。特に若い人になればなるほど、知らない、または無関心という人が増えており、現在もやっかいな問題として残っている結婚問題も、現在の高齢者層が亡くなった時点で多くの差別は消滅するのではないだろうかと思う。
被差別部落のような、本人たちが語りたがらず、歴史にも残っていないものを調査するというのは非常に手間と根気が必要なのだろうと思う。被差別部落にルーツを持つ職業に対するイメージも現代では大きく変わってきており、これらも時間が解決するのだろうと思う。
ぎゅっと内容が詰まった作品であり、読みごたえがあった。
知らない世界、知らなかった歴史が書いてある。

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