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まったくの政治の素人が、ある日かかってきた1本の電話で、「公募」に誘われた。自民党の公認候補として川崎市議会議員の補欠選挙に立候補する気はないか、というのだ。政界に馴染みのないフツーの人が体験した選挙戦は、摩訶不思議なことだらけ。自民党ならではの圧倒的な組織選挙の渦に巻き込まれていく。そこには、お金がかかる選挙の実態、自民党の支持基盤の姿、そして、日本の民主主義の根幹が垣間見えるのだった。映画「選挙」で描ききれなかった真実。
書評・レビュー・感想
元川崎市議会議員の著者が書いた地方選挙ルポタージュである。
まったくのど素人が選挙に立候補し、右往左往しながら、政治の世界に巻き込まれていく話で、臨場感もあり、非常に面白かった。映画にもなったらしいが、そっちは未視聴。
政治というか、自民党の強さの秘訣が随所に見られた。地盤、看板、かばんと言われる選挙であるが、地盤も看板もかばんもない著者がどのように選挙に翻弄されていくのかを見ると、政治活動の難しさが改めて分かる。徒手空拳の悲しさである。
日本の選挙の悲しさと不思議さと面白さが詰まった一冊である。