★★★☆☆[映画] おくりびと – Departures (レビュー・感想・解説・ネタバレ)

【この記事の所要時間 : 約 3 分

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求人広告を手に会社を訪れた大悟は、社長から思いもよらぬ業務内容を告げられる。それは遺体を棺に収める「納棺」という仕事だった。納棺師の見習いとして働き出す青年と様々な境遇のお別れを描いた感動のドラマ。本木雅弘、広末涼子、山崎努ほか出演。 第81回アカデミー賞外国語映画賞、および第32回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞。

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レビュー・感想・解説・ネタバレ

完全ネタばれなので、映画未視聴の方は、決して読まないように。

去年に祖父が死去して、納棺師というのをはじめて目にしたのをきっかけに、以前から気になっていた本作品を観た。全体を通して、飽きさせることなく、淡々とストーリーが進む。久石譲の音楽が静謐さを出していた。

葬儀関係の仕事や納棺師の社会的地位を上げたとも評価される作品であるが、「死者のため」というよりは、「親族のため」という要素が強いため原作者が映画化を拒否したと言われている。そのため、まったく別の作品としてならという条件で同意したらしい。職業としての納棺師をうまく描いているかと思うし、納棺師というものがどういうものか知らなかった人にとっては新しい発見がたくさんあったと思う。

観る人に身近な人の死を思い出させて、作品そのものだけでなく、身近な人の死を媒介にして泣かせる作品としており、非常にうまいと思う。ただ、残念ながら、人間の死の尊厳について描かれているが、宗教的な観点では限界が見える。批判を浴びにくいように角が取れた内容であり、特定の宗教から切り離した一般的な概念としての「死生観」がギリギリの妥協点だったのかもしれない。原作では、浄土真宗の開祖の親鸞上人の教えなどが詳しく解説されている。

葬儀や死に関しては、現実はもっとドロドロとした世界であり、画面にしたくない部分は省いているため、リアル感が乏しいように感じた。役者の演技や細部の画などは非常に良いと感じたが、原作に確かにあるが、広末涼子の「穢らわしい」という唐突な台詞や山崎努がこの仕事に就いた動機の甘さ、友人の母親のストーリーに合わせた死、急死にもかかわらず本木雅弘のお父さんが石を握っている等々、あざとい脚本は、正直しらけた。先がすぐ読める展開だが、宗教的な面も含めて、ある程度の時間内で物語を完結させるエンターテイメント作品としては仕方がないのかもしれない。

納棺師のPR作品としては大成功だが、「死」を深く考えさせる作品としては、イマイチだったと思う。どの観点から評価するかで評価の分かれる作品になっているように感じた。

原作は、青木新門・著『納棺夫日記』である。

納棺夫日記 (文春文庫)
青木 新門
文藝春秋
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