★★★★☆[映画] エス(es) – The Experiment (レビュー・感想・解説・ネタバレ)

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es[エス] [DVD]
ポニーキャニオン

新聞広告で集められた被験者を「看守役」と「囚人役」に分け、模擬刑務所で生活をさせる…。アメリカの大学で実際に行われた実験を題材に描く、スリリングなドイツ映画。元記者の主人公が、起死回生のネタとして被験者に応募し、実験を記事にしようとする。しかし、実験に参加する前から、彼の身に奇妙なできごとが連続。そして、実験に参加した彼が体験したものとは?

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レビュー・感想・解説・ネタバレ

完全ネタばれなので、映画未視聴の方は、決して読まないように。

普通の人間が持っている残虐性と、異常な環境の力をまざまざと見せ付けられた映画だった。

本作品は、事実をもとにしている。

映画はドイツで行われたことになっているが、事実は、1971年にアメリカで行われている。

ユダヤ人虐殺の責任者だったナチスのアドルフ・アイヒマンが、ユダヤ人虐殺という非人道的な行為を実施したにも関わらず、戦後、逮捕してみれば、ごく普通の小心な小役人だったことがわかり、精神異常者ではないごく普通の一般人でも状況によっては残虐なことができるのか?を調べるために、閉鎖的な環境下における権威者の指示に従う人間の心理状況を調べたミルグラム実験(アイヒマン実験)というものが、1961年に行われた。

実験の結果、一定の条件下では、ごく普通の一般人が冷酷で非人道的な行為を行うことがわかり、このような現象をミルグラム効果と呼ぶようになった。

そんなミルグラム実験(アイヒマン実験)を変形し、擬似刑務所を舞台にして、普通の人が特殊な肩書きや地位を与えられると、その役割に合わせて行動してしまう事を証明するために行われたのが、本作品の元になったスタンフォード監獄実験である。

結果は、「服従の心理」の恐ろしさである。特殊な肩書きや地位を与えられると、ごく普通の一般人が責任を放棄し、殺人すら躊躇しないようになっていく・・・・肩書きや地位は人間を変えるということがよくわかる。良くも悪くも。

現代の日本にいると、ナチスドイツや北朝鮮などの独裁が不適切なものであることを頭ではわかっているが、現代においても、同じような環境・状況になれば、自分もそうなるということをわかっていない人が多い。独裁というものを作り出さないための仕組みが機能し、それが機能しつづけるようにしなければならないことを肝に銘じなければならないとこの映画を見て改めて思った。

あの人なら大丈夫とか、いまは特殊な状況だからとか、そういった仕組みを壊すようなものを排除していく強さが必要なんだと思う。どんな人でも権力を持つと盲目になる。そしてこの映画のように、ごく普通の人が通常時なら考えられない冷酷で非道なことをする。それが人間であるということを認め、そうならないための安全装置としての仕組みを持つことの大切さを教育で教える必要があると思う。

いかに情報公開や外部からの情報、第三者の監視機能といったチェックが重要かということである。これは民主主義のコストであり、不便だが受け入れなければならないコストなんだと思う。

この映画の看守のように、状況によっては、わたしやあなたもアイヒマンになってしまうということである。人間誰しもがもっている残虐性の存在を世に知らしめる作品といえる。

映画では事実以外に脚色している部分があるが、イマイチな部分が多かった。盗撮用のメガネやドライバー、主人公の恋人など伏線や映画のテーマ、本質に直結しない部分で、それ必要?と思う部分があったが、本質には影響しないのでまあよしとしよう。

見ごたえ十分のお勧め映画である。

本作品は、ドイツ映画であるが、アメリカで「エクスペリメント」という名前でリメイクされている。

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