20歳の自分に受けさせたい文章講義 – 古賀 史健 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 5 分

どうすれば自分の気持ちや考えを「文章だけ」で伝えることができるのか?この授業のスタート地点はそこにある。そう、僕らは「話せるのに書けない!」のだ。人に口で伝えることはできても、それを頭の中で文章に変換しようとすると、とたんに固まってしまう。メールの一通すら、うまく書けない。「話すこと」と「書くこと」はまったく別の行為なのだ。決して「同じ日本語じゃないか」などと思ってはいけない。この授業では、現役のライターである著者が、現場で15年かけて蓄積した「話し言葉から書き言葉へ」のノウハウと哲学を、余すところなく伝えていく。学校では誰も教えてくれなかった“書く技術”の授業をいま、始めよう。

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書評・レビュー・感想

著者は、日本人は学校で文章の書き方を習っていないから書けない人が多いと述べている。その理由としては、小学校などで行われている作文や読書感想文は、文章の書き方を指導しているのではなく、心の指導、形を変えた生活指導だからだとのこと。これはたしかになるほどな。と思った。
著者は長年のライター生活において獲得した文章を書くコツを本書で伝授してくれるらしい。
まず、著者は文章はリズムで決まるので、文章におけるリズムの取り方を学ぼう!と説いている。著者がいう文章のリズムは大きく分けると2つあり、「視覚的リズム」と「聴覚的リズム」である。
「視覚的リズム」として、以下の3つのことに注意すべきとのこと。
 1.句読点の打ち方

1行の間に必ず句読点をひとつは入れよう!

 2.改行のタイミング

最大5行あたりを目途に改行しよう!

 3.漢字とひらがなのバランス

ひらがな(白)のなかに、漢字(黒)を置こう!

次に、「聴覚的リズム」としては、以下の2つのことに注意すべきとのこと。
 1.読点「、」の位置を確認しよう!
 2.言葉の重複を確認しよう!
この「視覚的リズム」と「聴覚的リズム」という2つのリズムを考えた上で、「断定」をうまく活用して文章にリズムを持たせることができるらしい。
この中で、漢字とひらがなのバランスについては、パソコンを使うと手書きでは書けない漢字でも変換できるので、バランスが悪くなりやすいとのことで、これは自分も取り入れてみようと思った。
次に、文章の「構成」はカメラワークと似ているとし、カメラワークによって説明していた。まあまあこれもまずまずの内容かと思う。
 1.導入(客観のカメラ) - 客観的な状況説明
 2.本編(主観のカメラ) - 導入に対する自分の意見・仮説
 3.結末(客観のカメラ) - 客観的視点からのまとめ
このあたりは、「絶対、困らない議論の方法」や「「分かりやすい説明」の技術」の方がよりわかりやすくかいてあるかと思うが、似たような内容が書かれていた。
結局のところ、文章が書けないという人は以下の2種類だと思う。
 1.主張がない人
 2.文章を書くことがサービス業であることを知らない人
文章に限らず、何かを他人に向けて表現する場合、ある程度、手間暇がかかるということである。その手間暇を惜しまなければ、素質がなくても正しい文章がかける。それは、子供の映像を取るのに長時間ビデオを回すだけの人と、事前に絵コンテでカット割りを考えてからビデオを回し、後で編集したモノを完成品とする人の違いだと思う。これと同じことが文章でも言えるのだろう。

ぼくは文章の構成にも絵コンテの発想が必要だと思っている。文章の場合、扱う対象が「言葉」なので絵コンテという言葉がピンとこないかもしれないが、配置や組み合わせを考えるには対象を可視化してしまうのが一番なのだ。そしてなにより、われわれは自分の頭の中をのぞくことはできない。頭の中をうごめいている「ぐるぐる」は、可視化することでようやく客観視することができるのである。

本書の中でも述べられているが、こうした訓練のひとつとして、「言葉でないもの」を自分の言葉に置き替えることが紹介されている。つまり、地図や絵や写真を言葉にしてみるということである。意外と難しいし、数をこなせば相当の訓練になりそうである。
本書の中で一番の「目からウロコ」は、ある意味、著者が伝えたい内容ではなかったかもしれないが、著者が文章においては、翻訳の意識が必要だということを説くためのひとつの引用として、奥田民生さんのCUSTOMの歌詞がでていた箇所であった。

「伝えたい事が そりゃ僕にだってあるんだ」と打ち明ける一方で、「伝えたい事は 言葉にしたくはないんだ」と矛盾した思いも抱えている。おかげで「そしたらどうしたらいいのさ」と悩み、「頭の中が 見せられるなら見せるんだ」と、半ば投げやりに考えたりもする。結局、”僕”はどうするのか?その答えがカッコイイ。「そこで目を閉じて 黙って 閃いて 気持ちを込めて 適当なタイトルで ギターを弾いてみました」

これを読んで、ポロっと目からウロコが落ちた。何におっ!と感じたかと言えば、歌詞にあるように「伝えたい事は 言葉にしたくはないんだ」という人がいることと、そういう人は歌で表現したりするんだということである。自分がそういうタイプの人間ではないだけに、「あっ、そういうことだったの?」という思いがした。
なかなかイイ本だと思う。

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