歴史の愉しみ方 – 忍者・合戦・幕末史に学ぶ – 磯田 道史 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 3 分

忍者の子孫を訪ね歩き、東海道新幹線の車窓から関ケ原合戦を追体験する方法を編み出し、龍馬暗殺の黒幕を探る―。著者は全国をめぐって埋もれた古文書を次々発掘。そこから「本物の歴史像」を描き出し、その魅力を伝えてくれる。同時に、歴史は厳しいものでもある。地震史研究にも取り組む著者は、公家の日記などから、現代社会への警鐘を鳴らす。

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書評・レビュー・感想

著者の本は、「武士の家計簿」や「殿様の通信簿」、「江戸の備忘録」などを読んだことがある。
忍者についての研究がほとんどされていないとは知らなかった。本書ではそんな忍者に関する古文書を探し歩いた結果や古文書からわかる江戸時代の様々な事柄について著者の視点で述べられている。第4章では、2011年3月11日に起こった東日本大震災によって著者がどのようにして研究内容を変え、現在に至るのかが書かれていた。特にこの第4章は読みごたえがある。

太平洋の沿岸には、だいたい500年に1回ほどの周期で超巨大津波が来ている。この500年に1度の「強いほうの東海大地震」が、最後にこの国を襲ったのは、室町時代で、明応大地震・明応大津波(1498年)と呼ばれる。この地震津波の超絶した大きさは、鎌倉の大仏の大仏殿を押し流し、大仏殿を裸にした可能性が高い。さらには砂丘を破壊し淡水湖の浜名湖を海とつなげた。京に近い湖が近江(ちかうみ)、京に遠い湖が浜名湖で遠江(とおとうみ)だったのを変えたすごい地震である。運の悪いことに、われわれは、この明応地震からちょうど500年後の世界を生きている。次は強い方の東海大地震、人口集中地に15メートルの巨大津波がきても不思議ではない時期にさしかかっているといっていい。わたしは歴史学者として、この安政・宝永・明応津波に関心を持った。それでわたしは、「武士の家計簿」を探し出したり、「忍者の履歴書」を見つけ出したり、古文書をみつけるのがはやいので、歴史時代の地震津波の古文書をさがすのは、自分が適任であると考え、津波常襲地の浜松市にある静岡文化芸術大学に職を得て、2012年4月から移住して、研究をはじめた。

著者は歴史学者の観点から次の東海大地震を予測し、新幹線の迂回ルート作成などの提言をしている。古文書からわかる歴史のおもしろさは、よりリアルである。
そんなリアルな歴史研究者が「歴史の愉しみ方」を教えてくれる、そんな本である。

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