名画の言い分 – 木村 泰司 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 3 分

名画の言い分 (ちくま文庫)
木村 泰司
筑摩書房

「西洋絵画は見るものではなく読むものだ」という持論を豊富なエピソードとともにわかりやすく解説した西洋美術史入門。古代ギリシア彫刻から印象派まで、西洋美術を理解するために必要にして十分な基礎知識をエスプリとユーモアを巧みに交えながら「語る」手法は、斬新で具体的。楽しみながら知的好奇心を満たしてくれる一冊。カラー図版多数。

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書評・レビュー・感想

著者は一貫して、「美術は見るものではなく、読むものです」と述べている。
つまり、感性で美術を見るということを否定している。否定しているという表現は強すぎるかもしれないが、近代以前の西洋美術について、感性で見ることは不可能だと述べている。
たしかに近代以降の日本人が好きな印象派などは感性で見ることができると思うが、それ以前の宗教画や歴史画などは様々な西洋の知識(歴史、宗教、政治、思想、社会背景など)を知っていることを前提として意図を読み解くようにできている。よって著者の主張は、個人的にはその通りだと思っている。
この1冊を通じて西洋美術が理解できるはずはないが、時代ごとのエッセンスを掴むことはできるかと思う。古代ギリシアから印象派まで時代ごとに、簡単なエッセンスにまとめてくれているのでわかりやすい。
ただ、「ルーヴルはつまらなかったけど、オルセーは良かったわ」という人を教養がないと述べている部分などちょっと鼻につく部分もある。。。そのあたりは好みかな。
本書ではじめて知ったこと。
 1.古代ギリシアでは、男性の胸毛など体毛はいっさい表現されない!

古代ギリシアは、男性の理想像を追究した時代のため。例外は髭とアンダーヘア。

 2.ローマの美術は、コピー文化!

ローマ人はあらゆる種類のギリシア美術を運び込み、膨大な数のレプリカを作成。現在、ギリシア美術のオリジナルはほとんど残っていないが、ギリシア美術の姿や様式を現在知ることができるのは、このコピー(レプリカ)のおかげである。この時代、芸術品をコピーすることがいけないことという価値観はなかった。

 3.中世では真正面を向いた肖像画はイエス・キリストにしか許されなかった

このタブーをやぶったのがドューラーの自画像と言われている。

 4.プロテスタントの登場で、風景画と静物画が台頭した

プロテスタントは福音主義。聖書に権威を持たせ、聖書と自分が対話し、聖書の教えを実践していくことが真の信仰であるという考え方であるため、偶像崇拝を禁止している。そのため、カトリックのような宗教画ではなく、風俗画や風景画、静物画が発展していった。

 5.印象派とは、第1回印象派展に出されたモネの「印象、日の出」が由来

第1回印象派展というのも後世につけられたもので、正式には、「画家、彫刻家、版画家などによる共同出資会社の第1回展」というらしい。モネは色彩分割法という絵具を混ぜると明度が落ちてしまうので絵具は混ぜないで筆触を細かく分割し、見る人の目の中で絵具が混じることによって効果をあげる手法を使った。ドラクロワの色彩理論を発展させたもの。

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