印象派の名画はなぜこんなに面白いのか – 井出 洋一郎 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 3 分

印象派の絵画は日本人にとても人気があり、印象派関連の展覧会は多くの人でにぎわいます。しかし、印象派の絵画は、面白く解説するのには大変扱いにくいものです。印象派は絵画から肝心の物語をはぎ取って、「お天気」と「光の分析」で、画面を「手軽」に「旅気分」で味わえるようにしてしまったのです。そこで本書では、絵を前にした著者と助手がギャラリーツアーで語り合う対話形式で楽しくわかりやすく印象派の名画の面白さを解説、読んで見て楽しめるカラー文庫となっています。

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書評・レビュー・感想

日本では、特に印象派の絵画が人気である。だが、ギリシャ神話や聖書の絵画には物語があるが印象派の絵画は物語を取り去って、光の分析により手軽に旅気分を味わえるようにしたものであるため解説が難しいという面がある。逆にいえばそういった小難しい物語がない分、とっつきやすいとも言えるが、深く理解したいと思った時にはなかなか良い入門書がなかった。
そこで出会ったのが本書である。印象派を理解する非常にいい入門書であると思う。
第一章では、「印象派以前」として、コロー、ミレー、クールベ、ドービニー、ブーダン、ヨンキント、バジール、マネが取り上げられている。そして、第二章では、「印象派」として、モネ、ルノワール、ドガ、ピサロ、シスレー、モリゾ、セザンヌ、カイユボット、ゴンザレス、カサット。第三章では「ポスト印象派」として、セザンヌ、ゴーギャン、ゴッホ、スーラ、シニャック、ロートレック、ルドンが紹介されている。
光の分析をし、色彩の分割し、点描を利用した印象派を著者は以下のようにまとめている。

色の最も明るくて鮮やかな三原色は赤、黄色、青、そしてこのうち2色を混ぜた橙、緑、紫がその次に暗い混合色、これ以上色を混ぜると黒に近くなっていくので使えない。
そこで純粋な色を小さな斑点にして、違う色どおしを並び合わせたら、画面は明るいままで、しかも目には混ざって見えて微妙な色調ができる。そして赤と緑、黄色と紫、青と橙のような正反対の色を補色といって、混ぜたら黒になりますが、隣どおしにするとその色以上の強さが出る。
また違った色を隣どおしに並べると、お互いの補色がその色に被って見える、など、印象派の画家はこんな最新の理屈を持って自然を見直し、色彩を分割・点描する方向に走り出しました。
面倒かと思ったらこれが面白くてやめられない、止まらない。スーラやシニャックのように科学的に絵具の斑点の配置を計算して決めていく「新印象主義」まで生み出したのです。

個人的には、シスレーの屋外写生物が好みである。
日本人では浅井忠の「グレーの柳」は非常に良いと思う。
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