ギリシャ神話は名画でわかる – 逸身 喜一郎 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 3 分

嫉妬ぶかく、復讐心に燃え、呆れるほどに好色。ギリシャ神話に登場する神々が、人間よりも人間らしく、理不尽に見えるのはなぜだろうか。ルネサンス・バロック期に描かれた神話画の数々から、古代ローマ・ギリシャにまで遡り、神話の世界を愉しく案内する。ティツィアーノやルーベンスら、西洋絵画の巨匠たちの作品40点を図版収載。

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書評・レビュー・感想

わかりやすい!面白い!
聖書の名画はなぜこんなに面白いのか」や「ギリシア神話の名画はなぜこんなに面白いのか」などのような絵画を紐解いていくガイド本である。
上記の2冊よりも1つ1つの絵や人物により焦点を当てた内容となっていてより深くていい!
著者は、人々がなんとなく知っているギリシャ神話とはオウィディウスの「変身物語」だと指摘し、それをもとに自らの仮説を立てて説明していく。これがわかりやすかった。

ギリシャ神話は、人間を襲う自然の力を人格になぞらえる。このことを優れた画家は理解していた。そしてこれとともにこの本で伝えたいことは、いわゆる「ギリシャ神話」というもののとらえ方である。ギリシャ神話は、古代ギリシャで長い年月をかけてできあがってきた。しかし、いつまで時代が下っても、これがこれこれの神話である、という決定的な物語の形は存在しなかった。個々の神話は細部では自由に改変された。その例をひとつあげれば、ギリシャ悲劇の題材となった神話群である。大筋は決まっていても、悲劇ごとに細部はかなり違う。ギリシャ神話は変容するのである。

本書の中で重点的に取り扱われているのが、ルネサンス時代の画家、ティツィアーノとコッレッジョである。実際、コッレッジョは短命であったため、ティツィアーノの割合が大きくなっている。この2人の次に紹介するのが、ルーベンスとベルニーニである。
ティツィアーノとコッレッジョの名画でギリシャ神話を学ぶのもいいかもしれない。本書を内容をうまくまとめた文章は以下だと思うので引用する。

絵画は文学と異なり、時間の流れによって変化する様態を、時間の推移とともに描けない。しかし見方を変えれば、絵画はそのとき起きている事柄をすべて同時に表現することができる。さらに人物の表情や交錯する視線を通じて、文学では必ずしもことば化されるとは限らない心理の様相を、ことばにされる以前のままに描き出すことができる。私の理解によれば、ティツィアーノは当該神話のそれまでの姿を展開させたオウィディウスの「変身物語」そのものをさらに深めて、神話に新しい息吹をもたらした人物である。

すばらしい本である。おススメ!!

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