★★★★★[映画] メメント – Memento (レビュー・感想・解説・ネタバレ)

【この記事の所要時間 : 約 6 分

メメント [DVD]
テレビ東京メディアネット

数分前の記憶を忘れてしまう前向性健忘の男が妻殺しの犯人を追う、クリストファー・ノーラン監督が贈る異色サスペンス。主演はガイ・ピアース。

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レビュー・感想・解説・ネタバレ

完全ネタばれなので、映画未視聴の方は、決して読まないように。

クリストファー・ノーラン監督の作品と言えば、非常に緻密なプロットとアイデアで話題となった「インセプション – inception」を以前、観たが、その10年前にもっと難解な映画を撮っているということを教えてもらった。それがこの「メメント – Memento」である。難解な作品という前評判だったので、デヴィット・リンチ監督作の「マルホランド・ドライブ – Mulholland Drive」のような展開も考え、事前に登場人物の相関図と名前について調べてから観た。

結論としては、この事前調査から予想した展開とまったく違ったので途中から「オイオイ」と思いながらもスリリングな展開に熱くなった。最後まで観るとバラバラだったジクソー・パズルが見事に一つにまとまる非常にイイ映画である。新しく記憶ができない男が復讐を実行するサイコ・スリラー映画である。

事前にどのように予想をしていたかを告白すると、主人公の名前は、レナード・シェルビーだったので、レナードの語源である「獅子の心臓を持つ者」を暗示した強靭なハートをもった主役らしい主人公をイメージしていた。また、レナードの元顧客で、レナードが「忘れるな!」と注意していたサミュエル・ジャンキス(サミー)は、サミュエルの語源である「預言者」、「先見者」から先見性を持った、何か示唆を与える人物であり、旧約聖書に出てくるサムエルは、サウルやダビデをイスラエルの王としたことから、レナードはサウルかダビデまたは両方の役割をもったキャラクターであるかもしれないと想像し、レナードは「獅子の心臓を持つ者」であるから、サウルではなく、ダビデの役割を担っているに違いないと考えた。

次に、犯人捜しを手助けしてくれるテディであるが、テディとはセオドアやエドワードの愛称であることからエドワードの語源「幸福や富を守る者」セオドアの由来であるテオドロスのギリシャ語の意味である「神からの贈り者」から考えて間違いなく主人公を助けるグッドパーソンであると確信した。そして、もう1人犯人捜しを手助けしてくれるナタリーは、ラテン語で「誕生日」や「クリスマスに生まれた子供」などの意味があることから、こちらも主人公を助けるグッドパーソンであると予想。

では悪役(バッドパーソン)は誰なのか?を考えると、ナタリーの恋人で行方不明になったジミー・グランツのジミーは、ジェームスの愛称であり、ジェームスは、旧約聖書のヤコブに由来し、「人を出し抜く者」の意味があることからコイツが犯人(バッドパーソン)であると予想。レナードと争う謎の男「ドッド」については何かしら意味を見つけられなかったので、モーテルのフロント係であるバートと同じでメインストーリーにそれほど影響はないサブキャラクターだと予想。

つまり事前予想をまとめると、主人公レナードが協力者のテディとナタリーのサポートの上で、真犯人であるジミー・グランツを見つけるまでの物語だと予想した。

そして、映画を見始めた。

いきなり、グッドパーソンと予想していた「テディ」がレナードに射殺され、その後、時間が逆流した映像が流れることから時間軸が逆に進んでいることがわかってくる。「あれ?もしかしてテディが犯人?」という事前予想をまったく裏切る展開でスタート。

時間軸の異なったカラー映像とモノクロ映像が交互に流れる構成となっている。

レナードの視点でレナードの混乱と不安を追体験させる内容となっており、時間軸の異なったモノクロ映像と時間を逆回転させたカラー映像が最後には1つに収斂する。

内容だけでなく、この複雑な構成によってレナードの数分前の記憶を忘れてしまう前向性健忘という病理を観客にも味あわせてくれる仕組みとなっている。

最後にあっと驚くツイストを決めるという作品ではなく、作品全体の構成自体がツイストで、何度も見なおしたくなる非常に味わい深い作品である。

DVDには、もうひとつの「メメント」として、リバースシークエンス、つまり、正常な時間の流れでの映像も収録されていた。この作品を1度見て、内容がわからなかった人はリバースシークエンスを見てもいいかと思うが、本編ほどの面白さはない。やはり、本作品を面白くしているのは、全体の構成自体である。

記憶とは、真実とは、どういうものかを考えさせられる内容である。記憶というものがいかに脆く、うつろいやすく、罪悪感や感情などによって変えられたり、混同されたりするものか。人に話していくうちにもどんどん変わっていく。レナードはテディがいうように夢に生き、死んだ女房をひたすら思い、生きる目的を感じ、終わりなきロマンティックな旅を続けている不条理な男である。ジョン・Gを殺しても10分後には殺したことを忘れている。そんなレナードだからこそ、ずっとジョン・Gを探し続けることになる。現実逃避から自らの記憶を都合のいいように改変し、生きる目的を求めてパズルを埋める永遠の復讐ゲーム。これが真実だった。妄想と断片的な記憶で人間はいかに倒錯していくことができるのかが描かれた虚無的な犯罪映画である。レナードは復讐のためにパズルを埋める。そんなレナードの人生をパズルにしたのが監督のクリストファー・ノーランである。パズルを解く面白さもあるサイコスリラー。

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2度目を見直したら、「レナード=サミー」であることを示すヒント映像があった。一瞬だったので1回では見逃すとは思う。

2度、3度観たいと思わせられる映画である。

おススメ!

そんな「メメント – Memento」の予告編は以下で見ることができる!


クリストファー・ノーランが、本作品と同じ記憶について描いた2010年公開の「インセプション – inception」もおススメ!

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