のうだま2 – 記憶力が年齢とともに衰えるなんてウソ – 上大岡 トメ,池谷 裕二 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 8 分

「最近、ど忘れや物忘れが激しくなって……」。このところ、そんな声ばかりが聞こえてきます。しかし、ちょっと待ってください。最新の脳科学の研究で驚くべきことが発表されました。それは「年を取っても、脳の神経細胞の数は減らない」ということです。この驚くべき事実を、「海馬」などの著作で知られ、日本を代表する脳科学者の池谷裕二さんに、物忘れやど忘ればかりして悩んでいる「キッパリ! 」の上大岡トメさんが鋭く迫って、イラストと漫画でやさしく解き明かしていきます。そして、最新の研究結果に基づいて、もの忘れやど忘れへの対処法を教えます。前著「のうだま」で、続ける技術とやる気の秘密を解いた二人が、再び強力タッグを組ました。

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書評・レビュー・感想

前著の「のうだま」に続き、良書!!!
頭をうまく使うコツが書かれているので、こうしたベーシックな知識は小学生に教える必要があると思う。こういったいわゆる学習ノウハウといったものは早めに理解しておくにこしたことはない。

●長期記憶の門番!海馬とは?

記憶には、短期記憶と長期記憶があり、いわゆる「覚える」とは長期記憶に情報が蓄積された状態である。すべての情報は一度、短期記憶として蓄積され、その後、取捨選択されて長期記憶になる。この取捨選択をしているのが「海馬」であり、長期記憶の扉の門番と言われている。著者はこの海馬研究者である。
この「海馬」がどのような基準で長期記憶として蓄積するかどうかを取捨選択しているかと言えば、「その情報が生きていくために必要かどうか?」ということらしい。つまり、冷たいものを食べたらお腹を壊したとか、炎天下を歩いたらクラクラしたとかそういう情報が優先され、人の名前や歴史の年号、英単語などははじかれる。ではどうしたら、人の名前や歴史の年号、英単語などを長期記憶化するのかというと、「海馬をだます!」のである。
海馬は、何度も何度も自分のところにやってくる情報は、命に係わる情報として誤解するらしい。つまり、意識的に覚えたい事柄を長期記憶化するには、数多く思い出して情報として海馬へ送ってやれば、海馬をだまして、いわゆる「覚える」ことができる。だから覚えるには、当たり前だが、何度も繰り返し覚えたものを使うといった反復練習が必要となる。海馬は約1か月かけて情報を取捨選択するらしいので、覚えたい事柄は1か月の間に何度も反復練習することが必要となる。

●「海馬をだます」には、回数を増やす以外にも方法がある!

何度か海馬に刺激を与えると起こる現象をLTP(Long Term Potentiation)といい、LTPは記憶の素であり、記憶を作り上げているらしい。ある情報を思い出すことによってこのLTPを発生させることができ、何度も復習するとLTPが起こるとのこと。つまり、とにかく覚えるには、LTPを起こす必要がある。
復習しなくてもLTPを起こす方法が実はあり、それがθ波(シータ波)と扁桃体である。

●復習回数を減らすコツ1 – LTPとθ波(シータ波)

θ波(シータ波)とは、興味を持っている時や好奇心がわいている時に海馬から出ているもので、このθ波(シータ波)が出ている時はLTPが起こりやすくなっているとのこと!!
「初めて」行く場所、「初めて」会う人、「初めて」経験するなどのケースでは自然にθ波(シータ波)が出るため、脳は比較的覚えやすい状態になっているらしい。言い換えれば、興味を持てば、θ波(シータ波)が出て、LTPが起こるのでものごとを覚えるまでの復習回数が少なくてすむ。
この記憶力を高めてくれるθ波(シータ波)を手軽に強制的に出すには、「歩く」ことが一番らしい。歩かなくても移動(バス、電車)していればθ波(シータ波)が出ているとのこと。だから通勤、通学中は覚えやすいのだ!また、小腹がすいている時もθ波(シータ波)がよく出るとのこと。

●復習回数を減らすコツ2 – LTPと扁桃体(へんとうたい)

悲しい、うれしい、悔しいと強く思った出来事はよく覚えている。つまり、感情が盛んな時はものごとが覚えやすい。それにかかわっているのが脳の扁桃体(へんとうたい)である。感情が動くと扁桃体が活動し、LTPが起こりやすくなる。
ものごとを覚えるには、何度もそれを思い出すという復習の回数がもっとも重要であるが、対象に興味を持ったり、歩きながら思い出したり、お腹がすいている時に思い出したり、感情を高ぶらせて思い出したりすることによって復習の回数が少なくて覚えることができる!

●記憶には3つの種類がある!

記憶は大きく以下の3種類に分類できる。
 ・経験記憶 → WHAT – いつでもわりと自由に思い出せる
 ・知識記憶 → WHAT – 自由に思い出すことが難しい(きっかけが必要)
 ・方法記憶 → HOW – 「コトバ」で伝えるのが難しく、実際に経験してみた方がいいもの
経験記憶はいつでもわりと自由に思い出せるので、ここでは省略するが、知識記憶は「きっかけ」が弱いと思い出せない。よってど忘れのほとんどが「人や物の名前」とのこと。世の中のテストはほとんどがこの知識記憶を問うものであり、テスト中に「きっかけ」がないと思い出せないということになる。この「きっかけ」を作るのが、方法記憶である。

●方法記憶の強化方法とは?

方法記憶には以下の2つの特徴がある。
 1.無意識に作られる
 2.一度覚えると忘れにくく強固
よってスポーツなどを自己流でやっているとなかなかそこから抜け出せない。知識記憶を思い出す「きっかけ」や思い出し方は方法記憶である。そして、方法記憶の強化方法は、当たり前であるが、「回数」であり、インプットの仕方である。覚えやすいインプットの仕方とは、単独で覚えようとせず、いろんなものを関連づけて覚えることである。(マインドマップみたいな感じ)
方法記憶は非常に大きな力があるが、基礎部分であるため粘り強く、繰り返し覚えるしかない!これは鉄則!!

●記憶の定着には「入力」と「出力」のどちらが大切か?

答えは、「出力」である。
これは最近わかったことらしいが、脳は出力依存とのことで、入力を増やすよりも出力を増やす方が記憶が定着することが発見されたとのこと。その例が以下のような実験である。ある単語を覚える実験を条件を変えたグループごとに行ったものである。
 1.満点がとれないと全問見直して、全問再テスト
 2.満点がとれないと間違えたとこを見直して、全問再テスト
 3.満点がとれないと全部見直して、間違えたとこを再テスト
 4.満点がとれないと間違えたとこを見直して、間違えたとこを再テスト
学校や塾で多いのは4のグループであるが、どのグループでも覚えるまでの繰り返し回数は同じであるが、1週間後に同じテストをしたところ大きな差がでている。
 1.約80点
 2.約80点
 3.約35点
 4.約35点
この違いは、1と2のグループは、毎回全問再テストしていたが、3と4のグループは、間違えたとこだけを再テストしていた。つまり見直しという「入力」部分は結果に影響せずに、再テストという「出力」部分が結果に影響を与えていたことになる。
これによって、短期記憶では差はないが、長期記憶では、教科書や参考書を見直すよりも、問題集をどんどんやる方が圧倒的に効率が良いことがわかる。

●記憶の定着と睡眠の効果

最近、睡眠についての本をよく読んでいるのでこのあたりは非常に納得いったが、やはり睡眠は記憶に大きな影響を与えている。実験の結果、以下のようなことがわかっているとのこと。
 1.寝る前の1~2時間は脳にとって記憶のゴールデンタイム!
 2.朝学習より夜学習の方が効果的!覚えたら忘れないうちに寝る!
非常にタメになった!!
「やる気」もそうだが、「記憶」も脳をだますことが重要というのは覚えておきたいと思う。

●まとめ

 ・覚えたい事柄は1か月の間に何度も反復練習しよう!
 ・反復練習の回数を減らすコツは、「興味」「移動」「空腹」「感情」!
 ・単独で覚えずに関連づけて覚えよう!
 ・長期記憶には「入力」より「出力」が重要!
 ・寝る前の1~2時間は脳にとって記憶のゴールデンタイム!
 ・朝学習より夜学習!
一家に一冊!1学生に1冊!

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