身体の言い分 – 内田 樹 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 4 分

身体の言い分
内田樹先生の最新刊「身体の言い分」を読了する。内田先生のブログにもたまに登場する三軸の池上氏との共著で、2人が交互に出てくる会話形式。池上氏は、商船学校を卒業後、航海士となり世界へ。その後さまざまな職業をへて治療の道へ入り、「三軸自在の会」主宰として活躍されている。

大学の先生と医療のベテランという組み合わせはどんなもんだろうと少しあやしげに読み進めてみましたが、こういうマッチングもありかな〜と途中で思い始める。医療とビジネスってかなり遠いと思ってましたが、アプローチの仕方によっては近いものだと感じた。
本書「身体の言い分」の中で

企業における品質管理がそうなんですけど、最終品の品質について1つ1つ精査することはできない。だから製品の品質をどうやって管理するか、その管理工程の機能をチェックする。アウトカムではなくプロセスを見るわけです。人間の体だって部分を見たら、六十兆からの細胞があるわけで、六十兆をぜんぶ精査するのは不可能です。(中略)見なければならないのは、個々の細胞の具体的なダメージではなくて、プロセスがうまく機能していないのはどの点かということですから。どういう挨拶をしてどんな表情で、どんな歩き方で部屋に入ってきたのかを見るだけで、その人が自分の体をどのようにコントロールしているかがわかっちゃうということだってありうるわけで。その人自身の無意識の身体操作から体のプロセスもわかってきて、こんな口のききかたをするやつだから、この辺がおかしいんじゃないの(笑)、というね。

今、勉強しているPマークについても同じことで、セキュリティが守れているかどうかをチェックするのはアウトカムではなく、プロセスである。セキュリティコンサルの人にもどのような手順でセキュリティを守るのか?をドキュメントに落としなさいといわれている。身体についてもやっぱりそうか!とまたまた内田先生に教えていただく。

一般的な常識とは反対のことも内田先生は教えてくれる。
「チャンスはつかむものではない、やってくるものである」ということである。本書「身体の言い分」では、

仕事って「これ、やってくれる?」ってあっちからくるもので、「これ、やらせてください」って自分から言うものじゃないと思うんですよ。本来は。「あなた、これをやってください」って向こうからいってくるわけですけれど、何でそんなことを言うのかと思うと、「あなたなら、これできると思って」というわけです。この「あなたなら、できるんじゃないの」という評価をもって社会的承認というのであって、ドアをこじ開ける力のことを言うわけではないんです。ドアは向こうからしか開かないし、梯子は上からしか下りてこない。それを自分で「ステップアップ」とか言って、あたかも梯子を自力でかけて自力で上がれるかのような幻想をふりまいて、「成功のドアを開けよう」なんてとんちんかんなことを言っている。(笑)成功のドアは向こう側からしか開かないし、ステップアップの梯子は上からしか下りてこない。(中略)何か縁があって触れた仕事というのは、無意味に触れてくるわけではないから、自分が必ずできる仕事なんです。そんな時に臆病風に吹かれて一歩引いてしまったらだめなんですよ。せっかく扉がひらいたんだから、入ればいいんですよね。そこへ。(中略)でもおもしろいことに、若い人で「扉が開いた」そのチャンスの時に、ぴょんと飛び込む人ってほんとに少ないんですよ。ほとんどの人は扉が開いた時には、おびえて後ずさってしまう。「ぼくにはまだそんな準備はできてませんから」とか遠慮して。そんなのわかってるって(笑)。わかった上で「やらない?」と訊いてるのに。結局、キャリアの扉は自分で開けるものだと思っているんですよ。

最近は「チャンスは待っていても来ない。自分でつかめ!」的なメッセージが世の中にとびかってますが、それは幻想であると内田先生は語っている。勉強したり資格があれば、仕事が用意されているというのは幻想で、勉強もいいけど、基本的なことを学んだら自分でそれを活用していくってのがいいよ。って提案してくれている。やっぱり良いことを言う。さすが。
チャンスの扉が開いたら、ぴょんと飛び込めるだろうか?

スポンサーリンク
レクタングル(大)広告
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサーリンク
レクタングル(大)広告

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です