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少子高齢化で「賃貸→分譲マンション→戸建て」という旧・住宅すごろくは崩壊した。日本最大の不動産データベースを持つ著者が人生のあらゆるリスクに対応する新しい住まいのルールと具体策を公開。
書評・レビュー・感想
マンション購入時の価格より高く売れるマンションとそうでないマンションがあり、その選び方を指南するのがこの本の趣旨らしい。
なるほどと思うこともあった。
郊外の閑静な高級住宅地は地価が高いが、賃料はそれほど取れないのが一般的だ。そもそも賃料は都心へのアクセスが最も強いファクターとして影響する。たとえば、東急東横線で多摩川の手前の東京都アドレスの田園調布と多摩川を渡った川崎市アドレスでは地価が大きく違うが、賃料は地価ほどの差がつかない。賃料ではアクセスが重視されるので、電車に乗っている時間が数分伸びただけと考えてしまう。武蔵小杉が大化けした理由はここにある。20世紀には考えられなかったことだ。
分譲マンション8つの真実として以下があげられていた。
1.いいマンションは資産となる
2.マンションは1に立地、2に立地
3.画一的な商品だから売りやすい
4.自分の力では変えられないことが多い
5.災害に強い
6.余った住宅は賃貸市場にまわる
7.建物は長寿命化し、朽ち果てていく
8.大規模修繕はひと騒動になる
この8つの真実から本書のタイトルである10年で住み替える!という基本戦略になる。
また、マンション価格の法則として以下の6つがあげられていた。
1.買ってはいけない時期がある
2.単価の高いエリアが底堅い
3.駅アクセスはいいに限る
4.大規模マンションは得をする
5.タワーはランドマーク性に価値がある
6.面積は小さいほど損をする
不動産業界の慣習で、両手仲介をするための罠に落ちることがあるらしいが、そういった慣習は売主にとってデメリットになるので「売主の味方」という業者(株式会社不動産仲介透明化フォーラム)もいるみたいである。
http://www.urinushi-no-mikata.com/
不動産に詳しくないのでこの「マンションを10年で買い替える」という戦略が正しいのかわからないが、著者は以下のようにも書いている。
住宅投資は原則1つしか投資できないので、失敗が許されない。
物件選びには失敗が許されないので確率を上げようという話なんだと思う。1000万の自己資金で4000万借金して5000万のマンションを買うのであれば、5倍の信用でJ-REIT買うほうが、失敗の確率を下げることになるような気がするのは不動産に詳しくないからかな?
J-REITは物件を分散しているし、東京都心部の優良物件が多いので、分譲マンションが5000万円では買えない場所の物件でもある。まあ本書の内容とはあまり関係がないのかもしれないが。
著者が勧めているいいマンションとは、場所にステイタスがあり、駅から近く、大規模でランドマーク性があるというようなマンションだと思うが、ふつうに人には買えないと思われる。(だって1億以上、最低でも8000万くらいするでしょ。)
じゃあ、そういうふつうの人がそういういい不動産に投資しようと思ったらリートだと思うんだけどね。(業者の回し者じゃないよ)
そういう意味では言っていることは正しそうだけれど、対象となるのは一般の人というよりはその上にいる人たちなんだなとは思った。(本書には書いてないけど・・・)