大丈夫な日本 – 福田 和也 (書評・レビュー・感想)

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大丈夫な日本大丈夫な日本

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書評・レビュー・感想

著者の福田先生は、現在、日本が抱えている問題の困難さを、「近代の終わりをめぐる苦しみ」と表現している。
これは成長を前提とした文明の終わりの苦しみとも言い換えることができる。そしてこれは日本だけでなく、先進国といわれる国々は程度の差こそあれこの困難にぶち当たっていると私も思う。
(そしてまだこの困難を解消し得た国は一つもない。)
「近代をどうやって終わらせ、新しい文明をつくるのか?」が重要だと福田先生は言う。
そして、日本には過去に「近代を終わらせた」という貴重な経験があると語る。
そしてその経験(歴史)を見つめなおす必要があると説く。
この歴史とは言うまでもなく「江戸時代」のことである。
サステナビリティ(循環可能な)社会であり、ミニマムな権力装置と自治の中で、独自の豊かな経済、社会システムがあった江戸時代。この江戸時代にあった「限界の中での多様性を享受する知性」を考察し、ヒントを得るべきだと説く。
たしかに、江戸時代の植林政策など環境的見地から見るとすばらしいシステムであるし、福田先生の言う「階層化することじたいが問題なのではなく、階層ごとにあるべき充足感というものが失われてしまうことが問題」というのにも同意するが、一度上げた生活レベルを下げるということが日本人全体として成功するかのような見通しには同意できない。
アメリカの今後の見通しについては、福田先生は、内田 樹先生とほぼ同様の見通しであり、私の見通しともほぼ同じである。
それは、「アメリカは永遠の強国ではなく、敗亡の気配はすでにある」ということである。
日本は、ほぼすべての国際問題(ときには国内問題すら)を考える場合に参照するのがアメリカである。
そのアメリカの先行きの見通しがあまり明るいものではないということを前提にして話をすすめるのとそうでないのでは大きく結果が異なってくると思う。
日本は、アメリカなき日本の可能性を考える必要がある。
アメリカは日本と手を切って中国やインドと組むという戦略的オプションを絶対考えているし、すでにテーブルに載せていると考えてもおかしくない。ただ、逆に日本はと、考えるとかなり寒々しい状況だろう。
福田先生が言うように、「アメリカと中国が戦略的パートナーシップを組む」というのが日本にとって最悪のシナリオだろう。福田先生は、このシナリオが実現した場合、日本は生き残れないというが、私は生き残る可能性はかなり低くなるが可能性がなくはないが厳しいことには変わりはないと思う。
では、アメリカにとってどういうシナリオが最悪かというと、これは、日本と中国と韓国(統一韓国)が「儒教圏」を創設し、ECならぬACをつくり、アジアからアメリカを完全にはぶにするというシナリオである。
中国にとって最悪のシナリオは、北朝鮮がアメリカの思い通りにアメリカ寄りの国として韓国と統一し、日本、統一韓国、インドのはざまで内部崩壊するというシナリオである。
アメリカの衰退とともに、中国の内部崩壊の気配はある。
人口問題、エネルギー問題、水資源問題、環境問題など中国が発展を続けていける要素を見つける方が難しく、国の運営としては、日本と比べ物にならないくらいの要素が溢れているのが中国の現状である。
アメリカの衰退を前提に、日米同盟というシナリオが100年以内に賞味期限切れになるとすると、やはり「中国をいかにマネジメントするか」という問題が今後の日本にとって一番大切な課題になる。
私は、今必要なことは、日本が生き延びるために必要なシナリオを出来る限りたくさん用意し、そのリストをできるだけ長くし、日本が日本独自の文化、歴史、文明を守るために状況に応じたそのシナリオとリストの更新頻度を高めていくことだと思う。(これだけではだめだが、まずはこれが必要だと思う。)
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上記の流れもシナリオの一つとしてかなり有効であると個人的には思うが、アメリカが邪魔してくるだろう。

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