ラッシュライフ – 伊坂 幸太郎 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 3 分

ラッシュライフ (新潮文庫)
伊坂 幸太郎
新潮社

泥棒を生業とする男は新たなカモを物色する。父に自殺された青年は神に憧れる。女性カウンセラーは不倫相手との再婚を企む。職を失い家族に見捨てられた男は野良犬を拾う。幕間には歩くバラバラ死体登場――。並走する四つの物語、交錯する十以上の人生、その果てに待つ意外な未来。不思議な人物、機知に富む会話、先の読めない展開。巧緻な騙し絵のごとき現代の寓話の幕が、今あがる。

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書評・レビュー・感想

岡嶋二人という2人でやっている(やっていた)作家がいる(いた)。その中の1人である井上夢人さんが実験的にやっていたハイパーテキスト小説「99人の最終電車」というものがある。これは地下鉄銀座線を舞台にした小説であり、作中の各人物が「自分自身の視点」をもち、読者は各登場人物の視点を自由に切り替えながら、この作品を読み進めることができる。視点を読者が自由に切り替えできる群像モノである。こういった特殊や群像モノも好きであるが、複数の主人公の視点を著者があるプロットに基づきコントロールした一般的な群像モノが個人的に大好物である。
そして、本書である「ラッシュライフ」は、そんな群像モノを伊坂幸太郎が書いた作品である。オーデュボンの祈りを読んで、気になった作家だったので次の作品であるこの「ラッシュライフ」を読んでみた。
大きく5つの視点が交互に重なり合うように切り替わりながら物語は進む。時系列はバラバラであるが、この配置が憎らしいくらいウマい!ひとつひとつ事実を積み重ねて物語の厚みを増す、そんな印象である。それぞれの主人公が途中で出会いながら、またそれぞれ別々の道へと進んでいく。各主人公全員が1つに収斂することはない。
各主人公の中では泥棒の黒澤に惹かれた。多くの読者は黒澤に惹かれるように仕組まれていると思う。なぜなら黒澤がそういう役割だからである。彼は泥棒であるが、盗まれる人の気持ちになり、心のダメージの軽減をはかった上で盗む。変わった泥棒である。職業は泥棒であるが、役割はカウンセラーである。そして作中でも黒澤はある人物を癒す役割をはたすことになる。

「俺はさっき泥棒のプロフェッショナルだと言ったよな」
「確かに」
「でもな、人生については誰もがアマチュアなんだよ。そうだろ?」
「誰だって初参加なんだ。人生にプロフェッショナルがいるわけがない。まあ、時には自分が人生のプロであるかのような知った顔をした奴もいるがね、とにかく実際には全員がアマチュアで、新人だ」
「アマチュアか」
「はじめて試合に出た新人が、失敗して落ち込むなよ」

伊坂幸太郎・・・・いいね!
また別の作品も読みたくなった!

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