清佑、ただいま在庄 – 岩井 三四二 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 2 分

室町後期、荘園の新代官として赴任することになった僧の清佑。村のものどもを愛子と思った撫育するよう老師から言われたが、村人たちは一筋縄ではいかない。食うや食わずの生活では、どんな手を使っても生きのびることが第一なのだ。寺で純粋培養され、理想に燃える代官と、代官でさえうまく利用しようとするしたたかな村人たち。清佑の一方通行とも見える彼らへの思いは実を結ぶのか。第14回中山義秀文学賞受賞作。

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書評・レビュー・感想

戦国時代が始まる少し前の室町時代に暮らす人々(村人)の様子がリアルに描かれているように思う。本作品の舞台となっているのは、京の大寺の荘園となっている和泉国にあるとある庄である。現在の地名で言えば、大阪南部の東側あたりかと思われる。
本書の主人公は、そんな荘園に代官として赴任することになった若僧・清佑であり、その主人公が代官として成長していく姿が描かれている。そこはもともと後白河法皇から京の寺に寄進された荘園らしく、当時は公租を嫌って、多くの土地が公家や寺社に寄進され荘園化されていたが、武士の台頭で近隣の荘園は武士の管理に移っている中、寺社の荘園に手を出すと仏罰があたるとのことでなんとか武士からの侵食を逃れているようである。
清佑が本尊・大威徳明王に怨敵調伏を祈願している様子があるので、天台宗の大威徳寺周辺がこの荘のあたりなのかもしれない。そうすると、清佑は延暦寺または京の門跡寺院あたりの出身かもしれない。
岩井三四二作品としては、過去にたいがいにせえ難儀でござるはて、面妖亀井琉球守などを読んだが、有名人ではなく名も残らない一般人が時代や状況に振り回されながらなんとか生き抜く話は非常にユーモラスである。
おススメの一冊!

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