新宗教の解読 – 井上 順孝 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 4 分

新宗教の解読 (ちくま学芸文庫)
井上 順孝
筑摩書房

社会の矛盾や歪みを映し出し、また民衆の欲求を吸いあげる新宗教。天理教、創価学会から幸福の科学、オウム真理教にいたるまで、時代や社会を反映する「近代日本に出現した新しい宗教システム」としての新宗教を読み解き、宗教史的・社会学的な観点で洞察する。新宗教はなぜ生まれ、どのような道をたどってきたのか…150年にわたり激しく息づき、現在もなお多様な活動を展開しているこれらの現象を追究・分析する。
第1章 – 新宗教はアブナイか
第2章 – 新奇なるものの宿命
第3章 – 憤る人と魅せられる人
第4章 – 突然変異細胞の出現
第5章 – 病のメタファ
第6章 – 変貌の表と裏
第7章 – 増殖と既成化
第8章 – 大型教団への道
第9章 – 異文化への挑戦
第10章 – 宗教情報ブームの時代
第11章 – 新機種まがい
第12章 – 衝撃の正体

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書評・レビュー・感想

以前、浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのかを読んで、南都六宗から天台宗、真言宗、浄土宗、浄土真宗、臨済宗、曹洞宗、日蓮宗の既存仏教の大枠について理解した後、いわゆる新宗教というものはどういったものなのか?について知りたくなり読んでみたのが本書である。
どの宗教ももともとは新宗教であり、ユダヤ教からすれば、キリスト教もユダヤ教から派性した新宗教という扱いなんだと思うが、今、新宗教と呼ばれている宗教もあと500年以上先の世の中まで残り、一定の規模と勢力を有していれば新宗教ではなく、既存宗教になっていくのだと思われる。
本書で述べられている新宗教の数は非常に多いが、例を挙げると阿含宗、円応教、オウム真理教、大本、黒住教、解脱会、幸福の科学、金光教、真如苑、崇教真光、生長の家、世界救世教、世界真光文明教団、善隣教、創価学会、大乗教、天理教、念法真教、PL教団、白光真宏会、仏所護念会、弁天宗、立正佼成会、霊法会、霊友会などである。聞いたことある名前もあれば、初めて聞く名前もある。新宗教と呼ばれる宗教の数がこれほど多いとは思わなかった。
本書の著者は宗教学者であるため、アカデミックな視点で書かれているため一般の読者にも読みやすいかと思う。本書の内容をざっくりと書くと以下の通りである。

本書では、新宗教が時代、社会を反映した存在であるという前提から、その反映の仕方をマクロに解読しようとするものである。もっとも、時代、社会を反映していると見た場合にも、それがどんな反映であるかについてはいろいろな解釈の立場がありうる。新宗教が社会で果たしている機能を、より消極的に評価するならば、新宗教は社会の矛盾やゆがみの産物にほかならない、という視点を出せる。新宗教で病気治しがはやるのは医療体制の不備を物語っているとか、新宗教の教えに騙される人々がいるのは教育水準が低いからだとか論じていくわけである。新宗教運動が次々と生じるのは、日本社会に矛盾が多い証拠となる。もう少し、積極的な評価をすれば、新宗教は民衆の欲求を反映しているという視点がなりたとう。社会の変革を求める人々には、終末思想や世直し思想を前面に出す運動がある。物質的に満たされた社会を渇望する人には、現世利益を強調する運動がある。つまり、たえず存在する人々の精神的あるいは物質的欲求が、新宗教の諸活動に対応しているとみなすのである。

既存宗教より新宗教は、より現代にフィットしやすいように変化しているといえる。そしてそれは、社会の縮図でもある。新宗教全体について大枠を押さえたいという人にはおススメしたい。

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