★★★★★[映画] 恋愛小説家 – As Good as It Gets (レビュー・感想・解説・ネタバレ)

【この記事の所要時間 : 約 4 分

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甘い恋愛小説で暮らしを立てているが、毒舌家で潔癖症。そんな中年男のユドールが、カフェで働くシングル・マザーのキャロルに恋をした。想いは募る一方なのに、口を開けば暴言ばかり。果たして偏屈な恋愛小説家にハッピー・エンドは来るのだろうか。 個性派俳優No.1のジャック・ニコルソンが、ヒネた中年男の心情をユーモアたっぷりに演じたヒューマン・ドラマ。

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レビュー・感想・解説・ネタバレ

完全ネタばれなので、映画未視聴の方は、決して読まないように。

「癒し」の物語である。

強迫神経症である主人公ユドールが、他者と心の交流を通じて癒されていく過程が描かれている。前半では、ユドールの強迫神経症がどういったものであり、人格にどう影響を与えているのか?がわかるようになっている。行きつけのレストランでは同じ席にしか座らず、道路の継ぎ目を踏まないように歩き、歩いている際も「触るな!」と連呼して人とぶつからないようにし、使い捨てのナイフとフォークをレストランに持参し、家に帰ると新品の石鹸を何個もつかって手を洗い、自宅の鍵がかかっているかを何回も確認する。また、ゲイや黒人、ユダヤ人などに罵詈雑言を投げかけ、店員などにも横柄で毒舌ばかりの人嫌いでもある。

鍵がかかっているかを何回もチェックするシーンは、心に鍵をかけて固く閉じこもっている様子をうまく表現していると思った。

そんな偏屈で潔癖な変わり者が、少しづつ変わっていくはじめのきっかけは、ゲイの隣人・サイモンが入院したために一匹の犬を預かることである。

はじめは餌もたべなかったが、ユドールがピアノの弾いて唄った歌がよかったのか、餌を食べ始める。そこから散歩に行ったり、いつものレストランに連れて行ったりと犬と少しづつ交流していく。交流していく中で、頑なに守っていた自分ルールを少しづつ変えていくシーンがある。犬が見えるようにいつも座っていた席から移動したり、残したベーコンを持ち帰ったりなど。相手を変えるためには、まず自分が変わるという人間関係のルールを犬を通して学んでいるようでもあった。

犬に対する愛着が自分ルールというコダワリを忘れさせ、強迫神経症が少しづつ改善している様子がうかがえる。精神科医の「毎日のパターンを破れ」というアドバイスもそれを裏付けている。

犬が飼い主のサイモンに引き取られた後、いきつけのレストランのウェートレス・キャロルと交流を深めていく。使い捨てのナイフとフォークを持参するユドールに対して、キャロルが言った「人の食器を信用するのが外食の楽しみ。スリルよ。」というセリフは、相手を信用することが人間関係の楽しみであり、スリルであるということを示しているように思った。

病気がちな息子を持つキャロルがレストランを休みがちになり、彼女へほのかな愛着を抱いていたユドールは、自分の書籍を出している出版社へ行き、キャロルが職場復帰できるように息子を治せる医師を派遣するよう依頼している。ここにはアメリカの根深い医療問題がある。高額な医療保険に加入していないとまともな医師にかかれないという問題である。

キャロルは、息子の病気問題が解決に向かったことによって、パニックの中にあった毎日から解放され、それによって自分自身について思いをめぐらす時間ができる。そこには虚しさと不安があった。

それぞれ悩みをもつ3人(ユドール、キャロル、サイモン)は、ボルチモアに金の無心に行くサイモンと一緒に2日間の旅にでる。その旅の中でそれぞれの悩みや病気の原因が明らかになっていく。旅から戻り、キャロルへ思いを伝えに行こうと決意したユドールは、自分の部屋を出ようとするが、ドアには鍵がかかっていないことに気付く。自宅の鍵がかかっているかを何回も確認する癖があったはずなのに・・・・。キャロルやサイモンとの交流を通じて、強迫神経症が改善され、心の鍵がかかっていないということを暗示していると思われる。

サイモンとキャロルもまた旅を通して、癒されていく。

キャロルへ思いを伝えた後、ユドールは道路の継ぎ目を気にせずに歩いている自分に気付く。「癒し」の物語である。

この映画で、ジャック・ニコルソンとヘレン・ハントは、アカデミー賞の主演男優賞、主演女優賞をダブルで獲得している。なかなかいい映画だと思う。

恋愛小説家 (字幕版)

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