★★★★☆[映画] クイズ・ショウ – Quiz Show (レビュー・感想・解説・ネタバレ)

【この記事の所要時間 : 約 4 分

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ロバート・レッドフォードが製作・監督したアメリカで実際に起きたテレビ界のスキャンダルを映画化したドラマ。社会現象になっていたクイズ番組「21」でクイズ王となった青年の裏にはある疑惑があった…。
あるクイズ番組で発覚した不正を通じて、誘惑との葛藤や人種差別、メディアの在り方などの社会問題を丁寧に映画化している。登場人物たちに感情移入することによって彼らの体験が観客の教訓となるようにうまく映像化されていると思う。

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レビュー・感想・解説・ネタバレ

完全ネタばれなので、映画未視聴の方は、決して読まないように。

この映画は実話である。



クイズ番組「21」が放送されていたのは1950年代後半である。映画の中でも触れられているが、1950年代前半に起こったマッカーシズムの終焉とテレビの爆発的な流行によって当時、新しいヒーローが求められていた。週替わりにクイズ王が誕生し様々なヒーローが登場する中で、スポンサー受けがもっとも良いヒーローが選ばれる。そこに不正があった。

新旧のクイズ王として登場するのが、名門の家に生まれた容姿端麗なWASPのコロンビア大学講師と風采の上がらない貧乏なユダヤ人である。非常に対照的な人物設定となっている。アメリカ社会でユダヤ人が嫌われていることが様々な場面で映像化されている。そんな風采の上がらない貧乏なユダヤ人であるハービーは、番組プロデューサーの甘言に騙され、わざと間違えた解答をする。そして新クイズ王になるチャールズ・ヴァン・ドーレンは、スポンサーにも気に入られ、どんどんと金と名声を手に入れていくが、自分が騙されたと知ったハービーは、番組の不正を告発する。

その告発はテレビ局の意向で握りつぶされるが、下院立法管理委員会の調査官であるグッドウィンが調査に乗り出す。このグッドウィンは、ハーバードのロースクールを主席で卒業したユダヤ人であり、ハービーとグッドウィンという2人のユダヤ人が告発、追求側に立つのがハリウッドらしい。

チャールズは、番組プロデューサーであるダンとアルに、俳優のグレゴリー・ペックにはスタントマンがいるし、大統領にはゴーストライターがいる、などという言葉や教育的な効果があるという甘言に負け、不正に手を染め、最終的には公聴会で不正を認め、大学から追われることになる。そんなチャールズを追い詰めたグッドウィンが、その後、ケネディのスピーチ・ライター(ゴーストライター)になることから誰でも形は違えども同じような誘惑があるということが暗示されていると思う。

チャールズは公聴会での告白において、父へのコンプレックス(葛藤)や自分を見失っていたことを語るが、これはチャールズだけではなく、観客への教訓でもあると思われる。善と悪が見かけと異なることや認められたいという誘惑に屈してしまう人間の弱さと哀れさである。

映画の最後に、不正を働いた関係者たちのその後が簡潔に文章で説明され、批判はチャーリーが受け、テレビ局やスポンサーは追求を逃れたことがわかる。そして番組プロデューサーたちもテレビ局とスポンサーからの指示について口を割らなかったことにより後日、復職し、富を得ていることがしめされる。テレビに(時代に)使い捨てされる出演者とメディアにいとも簡単に操作される大衆心理のあやうさをうまく表現していると思う。

誘惑によって翻弄され、人生を狂わせていく人たちを描くことで誘惑との葛藤について学べる作品になっている。

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