絵画で学ぶ旧約聖書 – アブラハムとイサク編

【この記事の所要時間 : 約 5 分


旧約聖書といえば、ユダヤ教の聖典であり、キリスト教の聖典でもある。新約聖書はキリスト教の聖典ではあるが、ユダヤ教の聖典ではないため、ユダヤ教では旧約聖書のことを単に聖書と呼ぶ。旧約聖書という呼び方自体がすでにキリスト教的であるわけである。
旧約聖書は、イスラエル建国の物語であるが、アブラハムはイスラエル民族の父であり、イサクはその息子である。ある時、ハランに住んでいたアブラハムは神の啓示を受けて旅に出る。この旅に一緒についてきたのが、妻のサラと甥のロト、それに下僕と家畜である。その旅には様々な試練があったが、シケムという場所で「あなたの子孫にこの土地を与える」という神の啓示を受け、ここで暮らすようになる。その後、ロトの家族とは別々の場所で暮らす形となる。ロトが向かった場所が男色など性の乱れで有名であるソドムの町であった。

神から「あなたの子孫にこの土地を与える」という啓示を受けたが、アブラハムには子供がいなかった。すると、自分には子供が産めないと悟った妻のサラが自分の召使いであるハガルを夫の元につれてきて、子供を作ることを勧める。その後、アブラハムとハガルの間にイシュマエルという子が生まれる。これが後々問題となる。

ある時、アブラハムの前に3人の旅人が現れる。この旅人は絵画では聖なる姿として描かれ、神に2人の天使がつきそっている、または3人の天使、または三位一体として表現されている。この3人の聖なる者は、ソドムの町があまりにひどいためそれを亡ぼしに行く途中にアブラハムのところに立ち寄ったようであり、アブラハムは3人を接待している。

アブラハムは、この3人の旅人(天使)の1人から妻のサラが妊娠するという予告を受ける。長年妊娠しなかったサラは信じられなかったが、1年後に現実となり、生まれた子供がイサクである。マリアへの受胎告知に似ている。自分は子供を産めないと思って、妾に子供を産ませたが、奇跡的に自分(正妻)に子供ができると自然に発生するのが、世継ぎ問題である。

アブラハムの元を訪れた3人の旅人(天使)のうち2人がロトのいるソドムの町へ向かう。ロトは、2人が聖なる者であることを感じとり、饗応するが、ソドムの町にいるほかの住人が彼らに乱暴しようとし、結果、予定通りソドムの町は、神によって天からの硫黄と火によって滅ぼされた。この時、ロトはうまく逃がしてもらうが、彼らとの約束を破り、後ろを振り向いたロトの妻は塩の柱となった。

娘2人と一緒に逃げ出したロトであるが、町の人が全滅したため男がいなくなり、子孫を残せなくなってしまう。そこで娘2人はロトを酔わせて理性を失わせ、かわるがわる肌を重ね、それぞれ子供を身ごもる。

その後、やはり想像した通り、アブラハム一家では、正妻のサラ母子と妾のハガル母子の中がこじれ、サラはハガル母子を追放するようにアブラハムにせがみ、アブラハムは苦しみながらもハガル母子を追放する。ハガルの子であるイシュマエルの子孫がマホメッドになったといわれている。

その後、イサクがすくすくと育っていたある日、アブラハムに「イサクと一緒に山に登り、イサクをいけにえに捧げよ」という神の啓示を受ける。やっとできた子供をいけにえに捧げることを求められたアブラハムは大いに悩むが神の啓示に従い、イサクにたきぎを背負わせ、山に登り、祭壇をつくり、イサクをしばり、刃物でイサクを殺そうとした時に神から「やめよ!おまえの心はわかった!」という啓示を受け、神から試されていたことを知る。

このエピソードは「イサクの犠牲」と呼ばれ、多くの画家によって描かれている。アブラハムの信仰を試したものであり、その後、神から羊が与えられ、それをいけにえとして山を下りている。神の意思と神の恵みを表しているとも言われている。

「イサクの犠牲」の絵には、羊が入っているものと入っていないものがあるが、同じ構図で羊があるバージョンとないバージョンがあるものもある。山に登る時、たきぎ以外にいけにえがいないことをイサクは心配するが、直前になって自分がいけにえであることを悟り、抗わなかったことも神への信仰があったからだとされている。

こちらの絵のように、山に登っている途中から、天使に殺害を止められるシーンまでを一連で1枚の絵に描かれているものもある。一般的には、他の宗教で行われていた人身御供が、いけないものであると神から警告されたのだと解釈されている。

その後、サラが死去し、アブラハムはイサクの結婚相手を探すことになる。自分の出身地であるハランであれば、同族がたくさんいるという理由で、召使いをハランに遣わす。ハランでアブラハムの召使いに井戸水を与える女性として描かれるのが、イサクの妻となるリベカである。

リベカは、アブラハムの弟の孫であり、見たこともないイサクの妻となることを承諾する。このイサクとリベカから双子が生まれるが、それが、エサウとヤコブである。このヤコブがイスラエルの名を得て、ユダヤ人の祖となる。
以下の作品は、レンブラントの作品であるが、以前は「ユダヤの花嫁」という間違ったタイトルで認識されていたが、最近になり、「イサクとリベカ」が描かれたものであるとされている。

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