★★★☆☆[映画] アイズ ワイド シャット – Eyes Wide Shut (レビュー・感想・解説・ネタバレ)

【この記事の所要時間 : 約 3 分

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スタンリー・キューブリック監督の遺作となった。彼が最後に選んだテーマは、ごく普通の夫婦の性の問題だった。ニューヨークに暮らす開業医のビルは、美しい妻アリスと何不自由なく幸せな生活を送っていた。ある夜、知人のパーティから帰宅した彼は、妻からセックスにまつわる衝撃の告白を受け、ショックのあまり家を飛び出す。

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レビュー・感想・解説・ネタバレ

完全ネタばれなので、映画未視聴の方は、決して読まないように。

スタンリー・キューブリックの遺作ということでじっくり鑑賞した。本作品には、ウィーンに住む医師について描かれた「夢小説」という1926年作の原作があり、わりあい忠実に再現されている。やはりここにも時代性があると思う。1926年とはいわないが、1950年代、60年代に映画化されていれば、もっと違った印象になったかもしれないが、1999年に公開する作品としては観客に伝わりにくいものとなっていると感じた。今の時代に「女性に性欲がない」と思っている人がどれくらいいるのだろうか?

主人公の視点で性に関する妄想世界と現実世界とをいったりきたりして、妻帯者が身につまされる内容となっているが、妻の浮気願望に刺激された主人公が自分も浮気をしようとしてもしきれない様子は、もしかするとキューブリックの心情吐露なのかもしれない。

キューブリック作品としては、時計じかけのオレンジ2001年宇宙の旅が好きであるが、フルメタル・ジャケットはあまり好みではない。本作品もこちら側に入る。

乱交パーティの暗号である「フィデリオ」は、無実の罪で投獄された夫を男装して刑務所から救出する妻の物語であるベートーベンの歌劇の題名であるらしい。様々な場面での結果が、コーヒーショップに入る前に買った新聞で登場する「LUCKY TO BE ALIVE」という言葉で表現されているように感じた。薬漬けになった娼婦がパーティ中に倒れて助かる場面や乱交パーティーへ無断で侵入したことがばれた場面、売春しそうになった娼婦がエイズだったと知らされる場面などなど。

本作品、公開直前にキューブリックは亡くなるが、自殺という噂もあり、本作品とキューブリックの死去をセットで観客には考えてもらおうとするキューブリックが自分の命をかけた作品なのかもしれない。そう考えてみると、死んでしまったキューブリックと本作品を生きて観ている観客との比較において、「LUCKY TO BE ALIVE」という言葉の意味も深まる。

狂乱の数日を妻に告白したトム・クルーズが、ウジウジしながらニコール・キッドマンにどうしたらいいのか?と問う最後の場面のニコール・キッドマンの回答である「Fuck!」は、ダブルミーニングであるが、「LUCKY TO BE ALIVE」なんだから、ウジウジせずに生きることを楽しめ!というキューブリックの最後のメッセージだったのかもしれない。


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