国家破産・これから世界で起きること、ただちに日本がすべきこと – 吉田 繁治 (書評・レビュー・感想)

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書評・レビュー・感想

著者は、その内容が濃いことでビジネスマンの支持を集めているメールマガジン「ビジネス知識源」の発行人である。本書は、現在、世界中を席巻しているソブリンショック、国家破産ということについて、腕を撫して書き下ろした、著者にとって初の金融経済書である。著者は、本書で、現在の国債危機についてどう読むかから説き起こし、ひいては、各国の国家破産の可能性、日本に国家破産が起きた場合の仮想風景まで詳細に書き込み、あくまで冷静に論理的に、読者の理解を深めてゆく。金融関係者から投資家、経済に強くなりたい人まで、少しホネはあるが、読み逃せない、必読の一冊である。
アマゾンのレビューなどをみるといい評価があがっている。400ページと結構な分厚さがあるが一気に読んでしまった。内容としては、著者の専門分野に近い部分はなるほど!と思わされたが、そうでない部分(特に金融)は正直、現場ではどうなの?と思わされた。
住宅に関する分析(個人からの視点)は、なるほどと思った部分の1つである。
インフレになっても人口を維持・増加する都市以外は住宅価格は値上がりしないことを北九州を例にあげて述べ、家賃の水準(土地を含む住宅価格の4%)から住宅所有のコスト(固定金利2.2% + 固定資産税0.5% + メンテナンス費用0.3% + 修繕積立費0.66% = 3.66%)を考慮に入れ、賃貸と購入の損得の結論を出している。結論は以下の通りである。

買った住宅が30年後に同じ価格で売れるとすれば、30年固定金利2.2%であるときは、住宅をローンで買った方が、同程度の借家よりわずかに得になる。住宅価格が下がるとみれば、買わないほうがいい。上がるとみれば、買ったほうがいい。これは人口増加地域にあるかどうかにかかっている。

ここで重要になるのが、人口動態である。都道府県別の30年間の人口動態について国立社会保障・人口問題研究所が発表している。
将来の市区町村別人口および指標 – 国立社会保障・人口問題研究所
これは2005年の人口を100として計算されており、日本全体としては、30年後の2035年には、13.4%の人口減により、86.6という数値になっている。そして今後の日本の不動産価格について以下のような結論を出している。

財政が破たんして円安から商品物価が2倍に上がるインフレのときでも、人口増加地帯や維持地帯(都道府県単位では、東京、神奈川、沖縄)のみが上がり、ほかは維持か下落です。地価は、人口構成でみて、上がった価格で買う人が増えないと上がらない。これはあらゆる資産に共通したことです。

インフレになれば、不動産がインフレ率に応じて上がると漠然と考えていたが、たしかに著者の指摘するように、「買う人が増えないと上がらない」のは事実だし、人口減の時代は、過去の観念を転換しなければならないと読んで思った。
金融に関しては、著者がヘッジファンド、ヘッジファンドと連呼するのが非常に気になった。ウォール街関係者は、リーマンショック以前は、CDOという仕組みを使って、ポジションをレバレッジで傾けるプレーヤーがいたが、今は過去のように大量に傾け得るヘッジファンドなど存在しないし、CDSやヘッジファンドが相場を変動させたり、市場を崩壊させるなんて時代は終わっているという。
著者がここのヘッジファンドなら日本国債をショートしても持ち続けられる資金量があると明示してくれていれば、納得できるのだが、それがないので眉唾である。
金融に関する統計情報をうまく整理して説明してくれているので、わかりやすさはあるが、著者がそういった現場にはいないので、本当にそうか?という部分で疑問点が多かった。
著者は、人気の有料メルマガを出しているだけあって、文章は読みやすいとは思う。ちょっとボリュームがあるが、内容は、自己責任で(笑。

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