歴史if物語 – 井沢 元彦 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 3 分

歴史if物語 (広済堂文庫―ヒューマンセレクト)
歴史if物語

posted with amazlet
井沢 元彦
廣済堂出版

歴史に「if」という考え方は学問として邪道である。が、「if」の研究を怠ることが逆に邪道である。「歴史を民族の教訓集」と捉え、豊かな推理力を駆使して井沢史観を展開する新日本史。

スポンサーリンク
レクタングル(大)広告

書評・レビュー・感想

こういうのは嫌いではない。なかなか面白い思考実験である。
本書は、手紙で綴る日本史と歴史if物語の2部作であるが、タイトルになっていない「手紙で綴る日本史」の方もなかなか面白かった。源義経の腰越状や法然上人の一枚起請文など、実物を読んだことがないものが多くある意味勉強になった。
メインである「歴史if物語」は、ありえない話ではあるが、そう突拍子もないことを書いているわけではなく、ある程度、状況証拠を積み重ねていく形なので面白く読める。
今年のNHK大河ドラマは、平清盛であるが、もし、平将門の乱が成功していたら・・・や、もし源頼朝、義経兄弟が平家に殺されていたら・・・などを読むと一層面白く見ることができるかもしれない。
現在、女性宮家創設の検討について報道されているが、「もし弓削道鏡が天皇になっていたら・・・」を読むとより深く天皇家について考えるきっかけになるかと思う。この時期が「万世一系」がもっとも危なかった時期だからである。足利義満なども天皇になろうとしたが、彼は天皇の了解をとっていなかった。しかし弓削道鏡は違う。天皇側が弓削道鏡に禅譲しようとしていた。
世界には例のない皇族。なぜ世界には例がないのか?を考えると、日本では歴代の権力者が天皇家を滅ぼして、自分が天皇になろうとしなかった(できなかった)からである。これには例外があってはいけない。その例外にもっとも近づいたのが弓削道鏡だったのである。その意味で後世にとても大きな影響を与える可能性があった歴史である。
本書でも記述があるが、天皇家が、他の国の王室と一番違うのは、「現人神」であり、その家系にとってかわるということができないということである。このできないは、ゆるさない、であり、不可能であるということであり、それゆえに「神聖」であるということになる。
例外があればその「神聖度」に傷がつき、一度傷がつくとその神聖度は著しく損なわれる。一度の例外も許さない、認めない、ことによってこれまで天皇家は無事であったともいえる。そういうことを知った上で女性宮家創設について考えることが必要と個人的には思う。
この歴史のIFを考えるというのは、歴史の不思議さを知る上で大変興味深いものだった。IFを考えても歴史には必然性があり、もしあれがなければ・・・と考えても、結局は大きな枠組みでは、歴史の流れを変えることはできず、時代や形を変えて同じようなことは起こる運命にある。
オススメの一冊である。

スポンサーリンク
レクタングル(大)広告
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサーリンク
レクタングル(大)広告

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です