鬼平の給与明細 – 安藤 優一郎 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 3 分

鬼平の給与明細 (ベスト新書 276)
安藤 優一郎
ベストセラーズ

「武士は食わねど高楊枝」。武士たるもの、空腹でも食べたようなふりをするものだという意味だ。清貧な武士の姿は、飽食の現代人にとっては、まさしく理想像である。しかし、武士社会は金と無縁ではいられなかった。鬼平こと火盗改長官・長谷川平蔵の借金まみれの姿に、名奉行・大岡越前の財テク術。理財の道に長けていた武士たちは、身分など低くとも、官僚組織のトップに登りつめることができた。江戸に生きた武士たちの本当の姿。アナタの歴史観が変わる一冊。

スポンサーリンク
レクタングル(大)広告

書評・レビュー・感想

タイトルにある鬼平とは、もちろん鬼平犯科帳に出てくる長谷川平蔵のことである。以前、鬼平犯科帳を読んで、まさに「鬼平の給与明細」のようなことをこのブログで書いたことがある。

「鬼平犯科帳」に出てくるそれぞれの俸給はだいたい以下の感じ。
 1.長官 - 1500石(家禄400石+役料足高1,100石)
 2.与力 - 100~200石
 3.同心 - 30俵2人扶持(30~50石)
では、現代の価値に換算するとどれくらいになるのか?米1石あたりの相場は金1両が幕府の安定目標価格。金1両は、相場は時期によって5~20万円と幅はあるが、1両=10万円と考えると以下のようになる。表示方式は、(知行石/実質石/実質石の現代価値)であらわす。
 1.長官 - 1,500石/600石/6,000万円
 2.与力 - 100~200石/40~80石/400~800万円
 3.同心 - 30~50石/12~20石/120~200万円
となり、同心の30俵2人扶持は安月給の代名詞となっているが、ほんとに安月給。ちなみにもちろんこれは年収。
金1両 = 4分 = 16朱 = 4,000文 = 10万円 と考えると、1文 = 25円。

本書では、金1両を20万円換算で計算している。
本ブログのブックレビューをチェックしてみると、江戸時代のお金の話として、以前以下のような本を読んでいる。
幕末下級武士のリストラ戦記
幕臣たちの明治維新
江戸の組織人
幕末単身赴任 下級武士の食日記
将軍たちの金庫番
武士の家計簿
「幕末下級武士のリストラ戦記」と「幕臣たちの明治維新」は、本書の著者が書いたものであるので、本書でもよく引用されていた。

同心の30俵2人扶持は安月給の代名詞となっているが、ほんとに安月給。

と言っていたが、本書によると、そういった表の給与以外に、賄賂や役得がかなりあったことがわかる。そして、給与よりそういったものの方が額が大きいケースも。表向きは、安月給でも意外と懐はあったかかったみたい。
ただそういう賄賂や役得がある役職には偏りがあったようで、有名な長崎奉行はもちろんのこと、奥右筆や御坊主といった家禄は低くても中枢部に近いところの役職で実入りが大きかったようである。また、町奉行所の与力で大名家から付け届けがくる役職の場合も副収入がかなりあったようである。
タイトルにある「鬼平」に関する記述は、本書の約5分の1程度であるが、そのほかの部分もなかなかに面白かったので、江戸時代の社会、風俗、金銭感覚などに興味がある人であれば、オススメの作品である。

スポンサーリンク
レクタングル(大)広告
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサーリンク
レクタングル(大)広告

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です