検証・地方がヘンだ!―地方がファスト風土化し、液状化している! – 三浦 展 (書評・レビュー・感想)

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検証・地方がヘンだ!―地方がファスト風土化し、液状化している!    洋泉社MOOK―シリーズStartLine検証・地方がヘンだ!―地方がファスト風土化し、液状化している!

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書評・レビュー・感想

下流社会」著者の三浦展氏が監修しているということで本書を読んだ。
洋泉社ムック編集部は、日本中の地方に広がっているあまりに均質で、画一的で、無個性な風景が、まるですべてがマニュアル化され、全国どこでも均一の味を提供するファストフードのようだということで、日本がファスト風土化していることに危機感を覚え、さまざまな側面から地方で何が起きているのかを検証しようとしている。
・剥き出しの欲望が立ち並ぶロードサイド
・山のなか、田んぼのなかに突如現れる大型店
・24時間眠らなくなった地方
・街も自然もスクラップされる地方
写真で地方のファスト風土化を指摘している。
びっくりしたのが、
「犯罪が起こる可能性は都市よりも地方で高まっている」という事実。
犯罪といえば、地方より大都市で起こるイメージがある。
そして、農村部よりも繁華街で起こるものだというイメージもある。
しかし、それは過去の話で、現在は違うらしい。
1970年と2002年の人口1000人あたりの刑法犯認知件数の推移というのがあり、1970年には東京が他の都市よりもおしなべて高かったが、2002年には、東京より鳥取、香川、山口、高知、宮城、福島などが多くなっている。
現在は、犯罪が地方に拡散している。
今は、犯罪も消費も東京より地方という時代らしい。
そして、東京を逆転するほどまでに豊かになった地方において「消費しかできない」者を生んでいるという事実もある。本書を読むと「地方がかなり危ない。いろんな意味で。」という感想を持つ。

30年くらい前は、学校自体序列化されていなかったのでさまざまな組み合わせのカップルが生まれる可能性が高かったし、あるいは見合いという文化もありました。今は、特に地方に残る者にとっては、人との出会いが学校か会社しかありません。会社自体もそれまでの偏差値なり学歴なりを引きずったまま入っていくわけで、そうすると学力的には同質の集団が集まって、そこでカップリングされていくことになります。そこに地方の特性が加わります。地方に残る者というのは、基本的には学力的にあまりよくなかった人たちというケースが多いわけですが、そういう場合、ある種ヤンキー的な文化に根付いた者たちが地方に残っているというケースが往々にして生じます。彼らにとっては高校の付き合いがいちばん強いから、夫婦だけでなく一緒にいる親たちも同質の者たちが集まるという傾向が強くなります。一方、大学にいこうとする子供たちやいわゆる優秀といわれる子供たちは地方から出ていくことが多く、戻ってきてたとしてもそれまで地元にいた子供たちとはまったく切れたところでコミュニティを作る傾向があります。そうすると、同じ地方、同じ地区にいながらもコミュニティが二極化され、その影響が子供たちにも如実に現れる。

これはつまり、ある世代だけの二極化というのではなく、経済的、文化的、意識的な面での格差の再生産が都市より地方で進んでいるということだろう。
本書で指摘している中で一番痛いなあ〜と思うのが、

1970年代ころから、学校制度がよりシステマティックになり、選別期間という意味合いが強くなっていくにつれ、働くことに対する価値観に変化が出てきました。簡単にいってしまえば、「頭悪いんだから身体で稼げよ、一生懸命やれば頭のいい奴にだって負けないぞ」という価値観がどんどんなくなってきてしまったのです。
今は頭が悪くて働かないという子供たちが増えています。地場産業の工場の社長さんたちが「昔は頭悪い奴らは一生懸命働いたんだけど、今は頭が悪くて働きもしないから使い物にならない」と言っています。
「できるだけ偏差値が高い子たちを採用したほうがちゃんと働いてくれる」と。

これは言ってみれば実も蓋もないけれど、現実だとしたら恐ろしいと思う。
社会的なリスクが増大していく上に、社会のリソースが有効活用されていないということだからだ。
個人にとっても社会全体によってもうれしくない状況。
どこかの国のように、下流の子供たちが裕福になりたければ、ヤクザかサッカー選手になるしかないといった状況になっていくのかもしれない。
中国の北京では上位25%の人が全体の75%の資産を持っている状況らしい。
所得分布などの分布状況について、その平準度を見るための指標としてジニ係数というのがある。
値が小さいほど平準度は高い。
現在の日本は、0.31で、アメリカが0.36。
ところが北京では、これが0.5を超えたらしい。
0.3〜0.4 : 少し格差があるが、競争の中での向上には好ましい面もある
0.4〜0.5 : 格差がきつい
0.5〜   : 騒乱が起きる危険性あり
という状態で、日本の地方は、北京に向かいつつあるのかもしれない。

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