小説 琉球処分(下) – 大城 立裕 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 4 分

小説 琉球処分(下) (講談社文庫)
大城 立裕
講談社 (2010-08-12)

処分官として派遣された松田道之が琉球に突きつけたのは、尚泰王の上京、清国への朝貢禁止、明治年号の強制など独立どころか藩としての体裁をも奪うものであった。琉球内部でも立場により意見が分かれ…。「世界で軍隊をいちばんきらうという琉球」がどう対処するのか。小説で沖縄問題の根源に迫る不朽の名作。

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書評・レビュー・感想

琉球では、15世紀後半にできた琉球王国の封建制のもとで次のような身分制度となっていた。

1.国王
2.世子 – 世継ぎ(中城王子とも呼ばれる)
3.王子 – 王の次男以下
4.按司 – 王家の分家
—- ここまで王族 —————–
5.親方 – 一間切(現在の市レベル)を領する総地頭
6.親雲上 – 一村(現在の町・村レベル)を領する脇地頭
—- ここまで上級士族 ————-
7.里之子親雲上 – 里之子が長じたもの
8.筑登之親雲上 – 筑登之が長じたもの
9.里之子 – 中級士族
10.筑登之 – 下級士族
11.子 – 譜代の子弟で、無位の者
12.仁屋 – 新参士族の子弟で、無位の者
—- ここまで士族 —————–
13.平民 – 百姓

王族が約30名、上級士族が約300名、一般士族が約2万人、平民が約6万人という構成になっていた。
一般士族は、里之子筋目と筑登之筋目という二つの家格があり、里之子筋目では、子 → 里之子 → 里之子親雲上 → 親雲上と出世していくのに対して、筑登之筋目では子 → 筑登之 → 筑登之親雲上 → 親雲上と出世していった。初位はいずれも子である。
ちなみに、親方と親雲上は世襲制ではなく、功績のある士族が取り立てられた。
身分制度は上記であるが、行政組織としては以下となっていた。

1.国王
2.摂政
3.三司官
4.表十五人
5.中央政庁
6.役座

首里城内に評定所があり、ここが政庁である。評定所には、摂政、三司官、表十五人がいた。王族は、公平性を期すために最高職である摂政を例外とすれば、国政に直接携わる要職などにはつかず、儀典関係や防災の長官職につくことが多かった。
摂政は、国王を補佐し、三司官に助言を与える役目であるが、儀礼的な閑職であり、王子や按司など、王族から選ばれた。
三司官は、実質的な行政の最高責任者であり、宰相に相当する。三人制で投票により親方の中から選ばれた。選挙権を持つ者は王族、上級士族であり、王族には選挙権はあるが、被選挙権は無かった。
表十五人は、摂政・三司官の下に位置し、国務大臣に相当した。本書の中では、琉球側として日本政府に対応するために摂政ならびに、三司官がたびたび登場する。本書に登場する人物をいくつかピックアップしてご紹介すると以下のようになる。

尚泰 – 藩王
伊江王子 – 摂政。藩王の叔父
松川按司 – 藩王夫人
与那原親方 – (旧)三司官、日本語などの語学が達者
津波古親方 – 国王の侍講・指南役
宜野湾親方 – (旧)三司官、日本につくことを勧める(開化党)
亀川親方 – (旧)三司官、清国につくことを勧める(頑固党)
高村親雲上 – 高村按司の長男。家格ゆえに昇進。無学
喜捨場親雲上 – 国王のお側付(朝賢)
与那原里之子 – 与那原親方の四男(良朝)
亀川里之子 – 亀川親方の嫡孫(盛棟)
佐久田筑登之 – 頑固党一派(亀川党)

非常に読み応えのある小説だった。
沖縄の普天間問題や、沖縄県の尖閣諸島で中国漁船と海上保安庁の巡視船が衝突した事件など沖縄をめぐる問題がクローズアップされている現代だからこそ、「琉球処分」とはいったいどういったものだったのか、政府側、琉球側の気持ちはどのようなものだったのかを小説を通じて考えてみるちょうどいい機会かと思われる。
オススメの上下巻。

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