山県有朋 – 半藤 一利 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 2 分

長州の奇兵隊を出発点に伊藤博文とともに、「偉大なる明治」の基盤を確立した山県有朋。彼は、統帥権の独立、帷幄上奏の慣例、軍部大臣現役武官制などで軍の政治的地位を高め、その武力を背景に短期間で大日本帝国を築き上げた。しかし、その仕組みゆえに、軍の独走を許し、大日本帝国は滅んだ…。「幕末史」と「昭和史」をつなぐ怪物の人生を、見事に描き切る。

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書評・レビュー・感想

山県有朋は、明治、大正時代に大きな影響力を持った人物であるが、幕末志士でありながら、その人、本人について書かれた書籍が非常に少ない人物である。坂本竜馬、高杉晋作、大久保利通、西郷隆盛、桂小五郎などとは大きく違う点である。本書を読んでその理由がわかったような気がした。山県有朋は、明治、大正時代に陸軍を中心に大きな権力を持っていたが、人物に魅力がない。本書の著者のように山県有朋で1冊まとめようと思っている人でさえ山県に対して批判的な書き方がされている箇所が数多くある。
西郷、大久保、桂の死後は、伊藤博文とともに明治政府に大きな影響力を持ったが、明治天皇が伊藤を好ましく思い、山県を遠ざけていたのもやはり人物に魅力がなかったためであろう。山県個人のパーソナリティとしては、造園好きであることは以前から知っていた。椿山荘などはもともと山県の別荘である。しかし、和歌が趣味だとは知らなかった。本書でもさまざまな場所で歌を詠んでいる。
本書を読み終わって感じたことは、山県有朋という人物が日本、軍隊、政治に与えた影響の大きさに比べ、その暗部もこれまた異常なまでに大きい。当然、功罪ともにあるはずだが、総合すれば、圧倒的に罪のほうが多いと感じた。第二次世界大戦での敗北の原因のもとをたどれば、山県有朋にいきつくのかもしれない。勲章好きや権力への執着などあまり好きになれない人物像であった。
さらに本書を読んで思ったことが、本当の意味での日本陸軍の父である大村益次郎が落命していなければ・・・ということである。歴史にIFはない。しかしと本書を読んで思わずにはいられなかった。

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