「わたしは甘えているのでしょうか?」(27歳・OL) – 村上 龍 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 2 分

「やりがいのある仕事についた友人に嫉妬する私をどう思いますか」「彼氏いない歴3年の26歳。将来が不安なのです」「同じように1万円使うなら、何に使えば『自分磨き』に有効ですか」―生活費、職場での人間関係、就職や転職などの若い女性の「バカバカしくも切実な悩み」に村上龍が全力で向き合った、希望と出合うヒントに満ちたQ&A集。

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書評・レビュー・感想

本書は、なかなか面白い構造を取っている本である。
本書にはタイトルに代表されるような女性からのさまざまな質問が並んでいる。ただし、その質問すべては、回答を求めていない類の質問である。質問にあるメッセージではなく、そのメッセージの差し出され方にメッセージが含まれている、つまりメタ・メッセージを読み解くように要請されている質問である。
そのメタ・メッセージとは、「質問には具体的に回答するのではなく、ただ話を聞いて共感してほしい」という女性にありがちなものである。本書の面白いところは、そのメタ・メッセージをまるっきり無視して、質問に具体的にびしびし答えていくという構造をとっていることである。同じメタ・メッセージを持つ質問をコレだけ並べているので、著者ならびに編集者がそれを意図していないわけはなく、わざとそうしているはずである。
一見本書は、質問のすべてが若い女性からのものであるため女性をターゲットにした本と思いがちだが、実は違う。本書は、日頃、質問に具体的に回答するのではなく、話を聞いて共感してほしいというメタ・メッセージばかり受けてうんざりしている男性をターゲットにしている。
そのような男性に向けて、著者は、そのメタ・メッセージをあからさまに無視して、具体的に、または適切に回答してみせることによって、そのような質問を受けてうんざりしている男性読者に爽快感を与えるという形となっている。
本書のターゲットではない、女性の読後感は、たぶんあまり良いものではないと予想される。それが予想されるだけに、それがさらに男性読者の読後感を豊かにするという仕掛けになっている。
さすが、女性向きの村上春樹と対極にある、男性向きの村上龍。
女性の共感してほしい攻撃にうんざりしている男性諸君にオススメの一冊。

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