住宅購入学入門-いま、何を買わないか – 長嶋 修 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 4 分

「低金利のいまがチャンス。この機会を逃したらこのグレードの住宅にはなかなか手が出ませんよ」、「数年後、金利が数%上がったら、頭金を100万円や200万円貯めたところで、それ以上に金利負担が大きくなります。かえって支払いは多くなってしまうんですよ。だからいま、『買い』なんです」、親切なアドバイスを装った、こんな一面的なセールストークにだまされないための一冊。

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書評・レビュー・感想

別に家を買う予定などまったくないがおもしろそうだったので、読んでみた。著者は、住宅購入のための個人向けコンサルティングの会社を経営している。住宅購入に関する相談を受ける契約事前相談や建物の不具合や欠陥の有無などを調査する建物調査、地域のリスクや将来環境などのコンサルティングを行う不動産調査報告などのサービスを展開しているようだ。
以前、フロー型住居とストック型住居で以下のように書いた。

ちゃんとメンテナンスすれば、100年(3世代)は利用できるような住宅。そういうのが一般の人が払える金額であればいいなあと思う。

本書はまさに、100年利用できるストック型住居というのをみんなで作っていこう!という哲学のもとに書かれていて非常に納得しながら読んだ。本書では、ストック型住居というのをヴィンテージ住宅と呼んでいる。
よくありがちなセールストークである「低金利は買いどき」の嘘なども当たり前ではあるが、なぜかあまり一般的ではないので再確認のためにも読んでおくといいだろう。債券でもそうだが、金利が上がれば価格が下がり、金利が下がれば価格があがる。つまり低金利の時は高値であるのが市場原理だが、一般にはこれがあまり浸透してない感じがする。
日本でも少しづつ、フロー型住居からストック型住居になるように法整備を含めて進みつつある。2009年6月4日に施行された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」は、住宅を長期にわたり使用することにより、住宅の解体や除却に伴う廃棄物の排出を抑制し、環境への負荷を低減するとともに、建替えに係る費用の削減によって国民の住宅に対する負担を軽減し、より豊かで、より優しい暮らしへの転換を図ることを目的としている。
ただ、この「長期優良住宅」の普及はまだまだのようである。
長期優良マンションまだ5棟 価格割高、売り手が二の足(魚拓 1 2 3

孫世代まで住み続けられる住宅に自治体が「長期優良住宅」のお墨付きを与える制度がスタートして4日で半年。戸建ては全国で2万4千戸を超え、新築の2割まで浸透した。一方で、マンションは全国でわずか5棟だけだ。戸建てに比べてマンションは販売価格が割高になるだけに、売る側も二の足を踏んでいる。
大手ディベロッパーも「質を上げればコストも上がる。品質とコストのバランスのとれた商品を検討中だが、具体的な計画はまだない」(三井不動産レジデンシャル)といった具合だ。
住宅の長寿命化を提唱してきた東大生産技術研究所の野城(やしろ)智也所長(建築学)は、「華美な設備や内装のコストを削って耐震強度にまわせば販売価格を上げなくても対応はできる。見えない部分に投資するのはマンション販売会社には勇気のいることだが、そうしなければ買い手も長期優良の良さを認識できない」と話す。
〈長期優良住宅〉 70~80年は長持ちする住宅に質の向上を図るのが制度の狙い。子や孫の住宅取得への負担を減らす効果も期待される。劣化対策、間取りの変更しやすさ、バリアフリー対策などの基準を満たす必要がある。購入者は50年の長期返済ローンが組めるほか、減税(所得税は最高年間60万円で10年間、固定資産税は5~7年間が半額)の対象になる。

ゆっくりではあるが、日本にもストック型住居が普及し、中古住宅市場が整備され、住宅ローンの主流がノンリコースローンになり、老後はリバースモーゲージが一般化するという風になるのかもしれない。しかし、そうなってほしいと切に思う。
著者の会社は、株式会社さくら事務所である。

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