幕末単身赴任 下級武士の食日記 – 青木 直己 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 3 分

幕末単身赴任 下級武士の食日記 (生活人新書)
青木 直己
日本放送出版協会

時は幕末、万延元(1860)年。紀州和歌山藩の勤番侍・酒井伴四郎が、江戸での単身赴任中に書き記した詳細な日記帳を元に、江戸のグルメを紙上再現!安価ないわしや豆腐で節約しつつも、宴会ではかつお相手に腕をふるい、中秋の名月には月見団子を手作りする。時に王子権現の料亭に贅沢し、浅草で寿司、麹町で牡丹餅に舌鼓。そんな下級武士の食日記である。

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書評・レビュー・感想

本書の主人公は紀州・徳川家の家臣・酒井伴四郎である。酒井伴四郎は、28歳の時に江戸勤番を命じられており、その江戸での暮らしについての日記を残している。それが本書のもとになっている。酒井伴四郎は、30石の武士であったが、当時、叔父(25石)ともう1人と江戸では3人暮らしをしている。基本は自炊をしつつ家計のやりくりをしていた模様。
魚では、いわし、さけ、かつお、まぐろなどを食べているが、どじょうやさめ、あんこうなども時たま食べていたことがわかる。野菜では、なす、大根、菜、はじけ豆、白瓜、レンコン、枝豆などをよく食べている。惣菜系もよく買っていた。焼き豆腐、や白豆腐、揚げ豆腐など豆腐が多かったことがわかる。
この酒井伴四郎が残した日記の食べ物について統計をとっている資料があったが、安いものを沢山食べてなんとか食費をやりくりしようということが資料からわかる。
たとえば、魚はよく食べる順に、いわし(42回)、さけ(18回)、かつお(15回)、まぐろ(14回)となっているが、1回あたりの値段は、いわし(17文)、さけ(25文)、かつお(30文)、まぐろ(57文)となっている。
1両を10万円とすると、1両 = 4分 = 16朱 = 4,000文 = 10万円 となり、1文 = 25円となる。そうすると、いわし(425円)、さけ(625円)、かつお(750円)、まぐろ(1425円)となってくる。イメージがわきやすくなったのではないだろうか。
一番高いのは、どじょうである。どじょうは3回食べているが1回平均、149文であるので、換算すると3725円となっている。当時としてはけっこうな贅沢品だったようだ。
酒井伴四郎の江戸詰手当は、年39両であり、支出は年23両となっている。約4割も節約しているのでかなりの節約上手だったようである。1両10万円計算では、年収390万円。で年間160万円貯金しているという感じである。
それと外食ではそばをよく食べている。
ある蕎麦屋では、普通のかけorもりそばが16文、あんかけうどん(16文)、あられ(24文)、天麩羅(32文)、花まき(24文)、しっぽく(24文)、卵とじ(32文)、上酒一合(40文)となっている。
酒井伴四郎は1年間に30回以上も外食でそばを食べており、その多くはかけorもりであったが、半分くらいは一緒に酒も飲んでいる。
幕末当時の庶民レベルの生活が食事を通してわかるのでとても面白かった。幕末という政治的に大きく変化していく時期ではあるが、この日記には政治色はほとんどない。それがまた面白いのかもしれない。

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