豪傑組 – 海音寺 潮五郎 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 2 分

江戸時代、文政天保期の九州・柳川藩の剣に生きた男たちの激烈にして痛快な生き方を活写した表題作の他、越前松平家のお家騒動の顛末を描いた「越前騒動」「忠直卿行状記」、戦国を生き抜いた武将たちの非情な運命を綴った「一色崩れ」等、武士のありようとは、如何にあるべきかを問う全九篇の短篇集。
1.豪傑組
2.一色崩れ
3.越前騒動
4.忠直卿行状記
5.坂崎出羽守
6.村山東安
7.末次平蔵
8.はやり唄五千石
9.白日夢

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書評・レビュー・感想

九篇の中でも印象に残ったのは、「一色崩れ」と「村山東安」である。
一色崩れは、丹後の守護一色氏にまつわる短編であるが、これは明智光秀が信長に与えられた丹後を一色氏と細川氏で半分づつ治めるよう指示するところから始まる。この頃、一色氏は丹後の守護とは名ばかりの一群さえあやうい地位にあったが、明智光秀の仲立ちによって細川忠興の妹を正妻に迎えることで丹後半国を治めることなっている。しかし、本能寺の変を境に運命が大きく動き出し、細川忠興は、妹婿の一色満信を自分の城へ招待し、そこで討ち取り、丹後をすべて細川のものにしている。不思議なことに先日、浜野拓也氏の「細川忠興」を読んだが、この一色氏に関する話はいっさい出てこなかった。なぜだろうか。
そして、村山東安であるが、こちらは、素性不明の流浪人である村山東安がさまざまな弁舌を使って、長崎外町の代官に成り上がる物語であるが、村山東安と秀吉のやりとりなど非常に面白い。もともと安東を秀吉がトウアンと呼んだので、東安に改名して秀吉を名づけ親にするという話などなるほどうまい!と思わされた。秀吉も卑賤な身から成り上がったため、村山東安を身近に感じていたのかもしれない。この村山東安の続編である末次平蔵は、末次平蔵が成り上がりから逆に転落していく物語であるが、やはり成り上がりへと上昇していく過程を描くこちらの短編の方がすがすがしく読後感は良かった。

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