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大学病院の教授の権威は失墜し、野心溢れる若手医師が目指す存在ではなくなった。いま、封建的で年功序列のこの組織に飛び込んで行っても、将来のポストの保証はない。その代わりに、医師たちは薄給でも将来のキャリアの役立つ都心のブランド病院に殺到し、健康診断や当直などのアルバイトで食いつなぐフリーター医師も出現した。
また、専門的なスキルを売りにして腕一本で高額な報酬を得るフリーランス医師は、病院にとってもなくてはならない存在となった。変革の時代にある医療現場の実情、医師たちの本音とは――100以上の病院を渡り歩いた現役フリーランス麻酔科医が辛口で書き綴る。
第1章 『白い巨塔』から『ドクターX』へ
第2章 医者になるのはいくらかかるか
第3章 医者と出世
第4章 医者の稼ぎ方
第5章 内側から見たフリーランス医師
第6章 これからの稼ぎ方
書評・レビュー・感想
本書に書かれているのは、医療現場のリアルな現状である。
著者は、「眠れない当直」「夜中の呼び出し」「医療訴訟スレスレの重症対応」のような過酷な業務に携わっている医師たちの待遇が、少しでも改善することを願って本書を書いたとのこと。
著者のようなフリーランスの医師はどんどん増えているらしく、その原因は、医局崩壊の原因ともなった「新研修医制度」とのこと。
一般人からは伺いしれない医師の世界がわかりやすく描かれている。
やはり医師の世界でも「理想」と「現実」の差は大きいようだ。
著者は女性であるので、特にセレブ女医を目指す女性について批判的である。
全般的に辛口であるが、わかりやすい。