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インターネットに大きく賭け、買い物や読書の習慣を大きく変えてしまったアマゾン創業者、ジェフ・ベゾス。本書は、その奇才の生い立ちから現在までを詳細に追った物語である。宇宙に憧れた聡明な少年が、ウォールストリートの金融会社をへて、シアトルで創業。当初はベゾス夫婦とエンジニアのたった3人でアマゾンを始めた。そこからベゾスの快進撃は始まる。
時に部下を叱りつけ、ありえない目標を掲げ、けたたましく笑う。そうして小売りの巨人ウォルマート、大手書店のバーンズ&ノーブルなどとの真っ向勝負に立ち向かってきた。ベゾスのビジョンは、「世界一の書店サイト」にはとどまらない。「どんなものでも買えるお店(エブリシング・ストア)を作る」という壮大な野望に向けて、冷徹ともいえる方法で突き進んでいく。
書評・レビュー・感想
(かなり)遅ればせながら読みました。
非常に面白く、ジェフ・ベゾスの人格的な特異さ、有能さと、Amazonの非情さ、社風、哲学などが感じ取れる内容だった。
偉大な創業者の下で働くことの光と影を感じることができる。
まさに、Amazonの舞台裏を生々しく知ることができた。
アップルのスティーブ・ジョブズや、マイクロソフトのビル・ゲイツ、インテルのアンディ・グローブのようにジェフ・ベゾスは、相手に共感を持つ能力が欠ける経営者のようである。人格面のそのような不具合もビジネスでは有効な武器となる。とくにIT業界では。偉大な創業者とは得てしてそのようなものかもしれないが、Amazonで働く人達の苦労は並大抵ではないだろう。
個人的には、Amazonに対しては、株主とユーザーとして関わりたいが、従業員や取引先としてはNGである。
自分の家族や友人に対しても同様に伝えるだろう。
本書を通じて、自分の信念、価値観とは何かが問われたのかもしれない。
ジェフ・ベゾス談で印象に残ったのは、
「我々に大きな強みはない。だから、小さな強みを編んでロープにしなければならない」
これは参考になる。
また、以下については、読後少し考える時間を持ちたいと思った。
「コミュニケーションは機能不全の印なんだ。緊密で有機的につながる仕事ができていないから、関係者のコミュニケーションが必要になる。部署間のコミュニケーションを増やす方法ではなく、減らす方法を探すべきだ」
非常に重要な示唆が含まれていると感じた。
500ページとボリュームがある本であり、2014年発売と少し古いが、良書である。