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Black Snake Moan (ブラック・スネーク・モーン)
男は、以前バーでブルースを演奏していたものの、現在は農業を営み、まっとうな生活を送るラザラス。彼が築き上げたささやかな幸せは、妻から突然別れを告げられることによって音をたてて崩れ去る。女は、幼少時代に受けた性的虐待の影響でセックス依存症となってしまったレイ。愛する恋人が入隊のため去った夜にはもう、行きずりの温もりを求めて町を彷徨う。そんな立場も年齢も肌の色も異なるふたりの運命は、一本の鎖と魂から奏でられる音楽によって固く結ばれる。それは傷ついたふたりにとって、本当の自分を取り戻すための過酷な戦いの始まりを意味していたのだった——。
レビュー・感想・解説・ネタバレ
完全ネタばれなので、映画未視聴の方は、決して読まないように。
渋谷シネ・アミューズに、「Black Snake Moan (ブラック・スネーク・モーン)」を観に行った。鎖につながれた若い白人女性とそれを監禁する初老の黒人男性という一見してVシネのような感じを受けるが、サミュエル・L・ジャクソンとクリスティーナ・リッチが出ているため何か面白そうな雰囲気を感じた。
「Black Snake Moan」は、同名のアルバムを出しているB.L Jefferson から取ったらしく、誰にでもある心の闇といった意味らしい。
たしかに長年連れ添った妻を弟に寝取られた百姓のサミュエル・L・ジャクソンと性的虐待の影響でセックス依存症となったクリスティーナ・リッチは、心の闇を抱えていた。そして、サミュエル・L・ジャクソンは、道端に顔を殴られて捨てられていたクリスティーナ・リッチを拾い、なぜか?彼女を治療・更正させることが自分の使命だと思い込むところから物語は始まる。そして、セックス依存症のクリスティーナ・リッチを更正させるために、サミュエル・L・ジャクソンは・・・
体には鎖を。心にはブルースを。
クリスティーナ・リッチを治療・更正させている途中でサミュエル・L・ジャクソンは、自分も彼女に影響されて心に変化があることに気づく。サミュエル・L・ジャクソンが嵐の中で男と女の悲しいブルースを弾き、それを聞きながら性的虐待のフラッシュバックに打ち勝とうとするクリスティーナ・リッチ。この場面によって、サミュエル・L・ジャクソンとクリスティーナ・リッチはそれぞれ違う心の闇ではあるが、同じ方向を向いて闘っていることが示唆され、物語が盛り上がっていく。(わくわくわくわく)
アメリカのいわゆる田舎の下流社会を描いている。真面目な百姓であるサミュエル・L・ジャクソンは、薬代さえ払えない。その中で、友人、信仰、音楽が重要な役割をはたしている。
この映画は、一見した印象よりずっと深い物語だったと思う。この映画では、「自分が欲しいものを相手に与えると、やがて手に入れることができる」という「情けは人のためならずや」ということがポイントだったのかなあと思った。
2006年01月08日 – バッファロー ’66 と 下流社会でも書いた「バッファロー ’66」にぽっちゃり少女役で出ていたクリスティーナ・リッチが、今回は色っぽいが、薬物依存で痩せているような役柄になっていて、その違いにも驚いた。
「バッファロー ’66」のぽっちゃり少女役
「Black Snake Moan」のセックス依存症役
「バッファロー ’66」のぽっちゃり少女役
「Black Snake Moan」のセックス依存症役