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脂肪酸とケトン体、そして糖質制限ダイエットのメリットとデメリットについてエビデンスを基に紹介。アスリートの糖質制限や、糖質制限中のバルクアップ法についても言及。
書評・レビュー・感想
ボディビルダーである著者が書いた「糖質制限ダイエットの科学」である。
内容は非常に質が高く、充実している。
本書は、現在行っている減量期(糖質制限+MCTオイル)の参考にさせていただいている。感謝!!
重要な部分を引用すると以下の通り。
緩い糖質制限(カロリー比30%を糖質から摂取)の場合は、ケトン体が主なエネルギー源となっていない。その場合、エネルギーを得るために糖新生が活発になる。つまり、中途半端な糖質制限は、筋肉の分解が起こりやすい。しかし、ケトジェニックでしたら、ケトン体が主なエネルギー源となるため、糖新生が起こりにくくなり、筋肉の分解も抑えられます。
逆に筋肉が減ってもいいから、何が何でも「体重」を減らしたいというような場合は、むしろ緩い糖質制限が向いています。糖新生を起こさせ、ATPをムダに消費することで、体重が落ちやすくなるわけです。ただし、糖新生といっても、十分に糖質を補給できるわけではありません。低血糖になる可能性が高くなります。糖質摂取がゼロに近い場合、糖新生によって糖質ができる量は一日に80g程度です。ケトーシスになっていない場合、脳だけでも一日に120gの糖質が必要となりますので、中途半端に糖質を制限すると血糖値が低下し、エネルギー不足や空腹感に悩まされることになるでしょう。
また糖質制限によって「耐糖能」が低下します。これはブドウ糖を処理する能力のことで、糖質を摂取したあとインスリンが正常に分泌されて血糖値が低下するかどうかを示したものです。糖質を摂取していないとインスリンの分泌能力が衰え、インスリン感受性も低下するというわけです。糖質制限を終了して糖質を大量に食べるようになると、血液中の糖分を処理しきれず、それが体脂肪に回ってしまうため、リバウンドが起こります。
糖質制限において、一番多い間違いが、「脂肪を摂取しない」ことです。しかしケトン体が作られるためにはβ酸化で作られるアセチルCoAが必要です。つまり脂肪が足りてないと、ケトーシスになりにくいのです。脂肪が足りず、糖質も制限している場合、ケトーシスにならずに糖新生ばかりが活発になります。これでは筋肉が落ちてしまい、リバウンドは必至です。脂肪の摂取が少ない場合、筋肉が分解されてケト原生アミノ酸が取り出され、ケトン体を生成しようとする働きも活発になってしまうのです。ケトジェニックにする場合、カロリー比として60%は脂肪から摂取するようにします。そしてタンパク質が30%、残りの10%が糖質です。これならケトーシスとなり、ケトン体をエネルギーとして使え、低血糖に悩まされることもありません。
ケトジェニックにする場合は、MCTを摂取するようにします。ケトン体を長鎖脂肪酸に比べて10倍も作り出しやすく、また体重減少効果も高いことが示されています。MCTを一度に大量に摂取すると下痢することもありますので、まずは5gから試し、慣れてきたら徐々に増やしていくようにするといいでしょう。低血糖になれば糖新生が起こりやすく、筋肉がどんどん分解されてしまいます。ですからケトジェニックを始める場合は、いかに早くケトーシスに持っていくかが重要になります。つまり徐々に炭水化物を減らしていくのはNG。ケトジェニックにする場合は一気にゼロカーボとしなければいけません。
上記をまとめると、
・通常の食事 (糖質60%、タンパク質30%、脂質10%)
・緩い糖質制限 (糖質30%、タンパク質60%、脂質10%)
・ケトジェニック(糖質10%、タンパク質30%、脂質60%)
とした場合、
・緩い糖質制限は低血糖になる
・緩い糖質制限は糖新生が活発になり筋肉の分解が起こりやすい
・緩い糖質制限は体重は減るが、筋肉も減る
・緩い糖質制限は空腹感に悩まされる
なので、筋肉を減らしてでも体重を落としたいなら緩い糖質制限はOKとしているが、私のように筋肉はできるだけ減らさずに体脂肪を減らしたいという希望を持っているならケトジェニックを行えとしている。
・ケトジェニックなら低血糖にならない
・ケトジェニックなら糖新生が起こりにくく筋肉の分解も抑えられる
・ケトジェニックなら体重は減るが、筋肉は減らない
・ケトジェニックなら空腹感に悩まされない
ケトジェニックとは、いわゆるケトン体ダイエットであるが、本書ではそのポイントが以下のように書かれていた。
・ケトジェニックは一気にゼロカーボにしなければならない
・ケトジェニックには脂肪を多く摂取しなければならない
・ケトジェニックにはMCT摂取がおすすめ
非常に参考になる本!!
2017年1月から糖質制限+MCTオイルによる「減量期」に入ろうと思う
【4週間後】 糖質制限+MCTオイルによる「減量期」の経過報告
【8週間後】 糖質制限+MCTオイルによる「減量期」の結果報告