総下流時代 All the Lower People – 藤井 厳喜 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 5 分


総下流時代 All the Lower People総下流時代 All the Lower People

1 気がつけばワーキングプア
2 金持ち団塊、ビンボー団塊
3 サザエさん一家はどこにもいない
4 人口問題から見た世界
5 グローバル階級社会の成立
6 近代とはなんだったのか?
7 アメリカは衰退するのか?
8 アラブという流砂
9 日本という孤高の文明
10 サラリーマン消滅
なぜ、働いても貧しくなる一方なのか?なぜ、景気がいいとされるのに給料は増えないのか?そして、10年後、20年後の日本はいったいどうなっているのか?少子高齢化による人口減少でじょじょに衰退してくというのは本当なのか?格差社会がますます進展し、一握りの「勝ち組」winners(富裕層)と、大多数の「負け組」losers(貧困層)の国になっているというのは本当なのか?本書では、わが国の格差社会がグローバル化の結果であると説いた前著『這い上がれない未来』から一歩進んで、世界規模で「前近代化」(中世に戻る)していく現実を明らかにする。

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書評・レビュー・感想

タイトルにある「総下流時代」とはどういうことだろうか?
著者は、今後の世界は、「新しい中世」になると予測する。
「新しい中世」とは、先進国の国家としての力が弱まり、近代的な価値観を持たない発展途上国の人口が圧倒的多数派になっていく。私たちは、少数派となり、やがてこれまで近代を達成できなかった国々の混乱に巻き込まれていくということらしい。
この「新しい中世」が「総下流時代」であると著者は述べる。
アメリカが現在の趨勢を保ったままであるというのは考えにくい。ゆるやかではあるが、衰退していくだろう。そうなると世界はどうなるか?群雄割拠である。
つまりは「新しい中世」になる。
あとはそれがいつかという問題だ。
そのような新しい中世に向かっている近未来に対して日本は何ができるだろうか?
そのような近未来の日本のシナリオとして著者は4つあげている。
1.日米連邦 – アメリカの吸収される(近代○、文明×)
2.中国属国 – 中国に吸収される(近代×、文明×)
3.孤高の道 を歩む(近代○、文明○)
4.鎖国政策 – 東アジアの小国へ(近代×、文明○)
1が経済的にも軍事的にも現在向かっている方向性ではある。著者も指摘しているようにこのシナリオならば、近代文明を維持し日系の大統領の出現する可能性もあるが、日本の独自文明を維持することは難しい。
2は中国の一党独裁がこのまま成功しつづけるなら可能性がある。新しい中世は、近代以前であり、過去に日本も組み込まれていた冊封制度に戻ることである。このシナリオが最悪で前近代にロールバックし、日本文明も維持できない。
3は近代と文明の両方を維持できるシナリオではあるが難易度は高い。この場合、日米安保を解消し核武装した上での軍事協力をしなければならず、さらに国内循環経済を作り上げなければならない。
4は現在の日本の地位をあきらめるというシナリオであり、国内で自給自足しなければならず大幅な生活レベルの引き下げが伴う。江戸時代に戻ると考えるのがいいだろう。
同様の話は、福田和也氏の「大丈夫な日本」でも出てきていた。

日本は、アメリカなき日本の可能性を考える必要がある。
アメリカは日本と手を切って中国やインドと組むという戦略的オプションを絶対考えているし、すでにテーブルに載せていると考えてもおかしくない。ただ、逆に日本はと、考えるとかなり寒々しい状況だろう。
福田先生が言うように、「アメリカと中国が戦略的パートナーシップを組む」というのが日本にとって最悪のシナリオだろう。福田先生は、このシナリオが実現した場合、日本は生き残れないというが、私は生き残る可能性はかなり低くなるが可能性がなくはないが厳しいことには変わりはないと思う。
では、アメリカにとってどういうシナリオが最悪かというと、これは、日本と中国と韓国(統一韓国)が「儒教圏」を創設し、ECならぬACをつくり、アジアからアメリカを完全にはぶにするというシナリオである。
中国にとって最悪のシナリオは、北朝鮮がアメリカの思い通りにアメリカ寄りの国として韓国と統一し、日本、統一韓国、インドのはざまで内部崩壊するというシナリオである。
アメリカの衰退とともに、中国の内部崩壊の気配はある。
人口問題、エネルギー問題、水資源問題、環境問題など中国が発展を続けていける要素を見つける方が難しく、国の運営としては、日本と比べ物にならないくらいの要素が溢れているのが中国の現状である。
アメリカの衰退を前提に、日米同盟というシナリオが100年以内に賞味期限切れになるとすると、やはり「中国をいかにマネジメントするか」という問題が今後の日本にとって一番大切な課題になる。
私は、今必要なことは、日本が生き延びるために必要なシナリオを出来る限りたくさん用意し、そのリストをできるだけ長くし、日本が日本独自の文化、歴史、文明を守るために状況に応じたそのシナリオとリストの更新頻度を高めていくことだと思う。(これだけではだめだが、まずはこれが必要だと思う。)
日中韓の財務相、「地域通貨単位」創設検討で一致
上記の流れもシナリオの一つとしてかなり有効であると個人的には思うが、アメリカが邪魔してくるだろう。

こうなるとやっぱり「日本が日本独自の文化、歴史、文明を守るために」は、大枠では「3.孤高の道 を歩む(近代○、文明○)」というシナリオしかないように思う。
あとはそれをいかに実現するか。苦しい戦いだな。

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