国家財政に貢献したいと願う国民は、喫煙すべきか、禁煙すべきか

【この記事の所要時間 : 約 7 分

「たばこは国家財政に貢献している」という話は本当か

たばこ産業による経済的
メリット……2.8兆円
コスト……5.6兆円
∴差引2.8兆円の負担増
(1998年の試算)
メリットからコストを引くと2.8兆円。つまりたばこ産業は年間2.8兆円もの損失を国家全体に与えていることになる。これを計算しやすいように約 3兆円として、当時のたばこ売り上げ本数の3000億本で割ると1本あたり10円、経済的損失が発生していることに。この損失分を穴埋めして「メリット=デメリットとするには、たばこ1本あたり10円余計に徴税しなければならない」と述べている。1箱20本入りなら200円の増税。値上げによる販売本数の下落を考慮しないとしても、「現行ならば」1箱500円強。試算は10年近く前なのに、現在に当てはめてもリアルな数字に見える。
繰り返しになるが今回挙げた数字は10年近く前の試算なので、現状では多分の誤差が生じているに違いない。とはいえその誤差は、少なくともコスト減の方向には向いていないだろう。それを考えると、「たばこ産業は(国家)財政に大きく貢献している」という話もダウトっぽい、ということになる。

という記事を発見した。
10年前の数値であるが、たばこが国家財政に与えるメリットはデメリットの半分であるという指摘。
だが、「たばこは国家財政に貢献している」という話もたまに聞く。
衆議院議員 西本勝子の国会奮闘日記

色々な会に出席すると喫煙者の方々が隅っこに追いやられています。むしろ遠慮して隅に座られています。しかし、今日もある先生が言っておりました。「我々は国家財政に寄与しているんだ。たばこを買って地方交付税を払っているし、たばこを吸って寿命を縮めているから老人医療の治療費の軽減にも貢献している。」なるほどと、私は変に納得してしまいました。

これは、国会議員の日記であるが、ここから読み取れるのは、
国会議員が「たばこは国家財政に貢献している」という話をし、それを国会議員が聞いて「納得した」ということ。
ほんとのところは、どうなのか?とちょっと調べてみたら2年前に国会で正式に質問して回答されているみたいだった。以下が、質問内容。
喫煙あるいは飲酒が国家財政に与える影響に関する質問主意書 – 岩國哲人

平成十七年五月三十日提出
質問第七〇号
昨今、アメリカ及びヨーロッパを中心に公共の場での禁煙実施が加速し、日本でも同様の動きが進み、大きな社会的関心事となっている。また、酒は百薬の長ともいわれ、日本でも古来より嗜まれてきたが、同時に過度のアルコール摂取によるアルコール依存症などの問題も引き起こしてきた。そのような情況を踏まえて次の事項について質問する。
一 喫煙者と非喫煙者では男女別で平均寿命、健康寿命にどれだけの違いがあるか。
二 飲酒者と非飲酒者では男女別で平均寿命、健康寿命にどれだけの違いがあるか。
三 たばこ類の販売による税収はいくらか。また、喫煙による健康被害が、健康保険財政、年金財政のそれぞれにどれだけの影響を与えているか。
四 酒類の販売による税収はいくらか。また、飲酒による健康被害が、健康保険財政、年金財政のそれぞれにどれだけの影響を与えているか。
五 以上を踏まえて、二〇〇二年二月二十一日の衆議院予算委員会で当時の坂口厚生労働大臣、塩川財務大臣に対する質問とその答弁を踏まえ、現在までに政府としてどのような試算を行ったか明らかにされたい。またそのうえで、国家財政に貢献したいと願う国民は、喫煙すべきか、禁煙すべきか、また、飲酒すべきか、禁酒すべきか、政府の見解はいかがか。
右質問する。

で、以下が、回答。
衆議院議員岩國哲人君提出喫煙あるいは飲酒が国家財政に与える影響に関する質問に対する答弁書

平成十七年六月七日受領
答弁第七〇号
衆議院議員岩國哲人君提出喫煙あるいは飲酒が国家財政に与える影響に関する質問に対する答弁書
一及び二について
喫煙者と非喫煙者及び飲酒者と非飲酒者の男女別の平均寿命及び健康寿命の違いについては、喫煙及び飲酒の影響による死亡率の変化等試算に必要となる基礎的な数値等の資料がないため、現時点でお答えすることは困難である。
三について
たばこ類の販売による税収については、国及び地方のたばこ税(たばこ特別税を含む。)として、平成十七年度予算及び平成十七年度地方財政計画において二兆千八百四億円を見込んでいる。
一方、喫煙による健康被害の健康保険財政への影響については、喫煙の影響による疾病のリスク、医療費の増加額等に関して確立した知見はないため、また、年金財政に対する喫煙の影響については、喫煙の影響による死亡率の変化等試算に必要となる基礎的な数値の資料がないため、現時点でお答えすることは困難である。
なお、厚生労働省が所管する平成十三年度の厚生科学研究費補助金により行われた「たばこ税増税の効果・影響等に関する調査研究」(主任研究者油谷由美子)においては、一定の前提の下、喫煙により増加する医療費が、平成十一年度において年間一兆三千億円に上るとの試算も行われている。
四について
酒類の販売による税収については、酒税として、平成十七年度予算において一兆六千二百五十億円を見込んでいる。
一方、飲酒による健康被害の健康保険財政及び年金財政への影響については、飲酒の影響による疾病のリスク及び死亡率の変化等試算に必要となる基礎的な数値の資料がないため、現時点でお答えすることは困難である。
五について
喫煙及び飲酒による健康保険財政や年金財政に対する影響については、三について及び四についてで述べたとおり、政府として現時点で試算を行うことはなお困難な状況であるが、厚生労働省は、平成十三年度の厚生科学研究費補助金により、三についてで述べた「たばこ税増税の効果・影響等に関する調査研究」に対して、補助を行ったところである。
喫煙及び飲酒による国家財政への影響について、現時点で試算することは困難であるが、いずれにしても、国民の健康づくりの観点から、喫煙については、喫煙が及ぼす健康影響についての十分な知識の普及や禁煙支援プログラムの普及等に取り組むとともに、飲酒については、節度ある適度な飲酒について知識の普及等に取り組んでまいりたい。

とのことで、「回答は困難である」という回答。
なんか国会ってつらいなあ~。
しかしながら、この中で唯一、拾える情報としては、厚生労働省が調査研究にお金を出しているというくらい。
その調査研究の調査結果は以下の通り。
たばこ税増税の効果・影響等に関する調査研究

1)喫煙による超過医療需要およびコストの推計
1999年度の喫煙による超過医療費は13,086億円となった。また、喫煙による労働力損失は58,454億円となった。これらを合わせると、喫煙者が一消費者として負担しきれずに、喫煙者が属している共同体に負担させているコストは、71,540億円となる。しかし、死亡の相対危険度である平山データを超過医療費や超過罹患による入院による労働力損失の算出にも使用している点や、疾患発症までのタイムラグを一律25年としている点など、不確定な要素も含んでいる点に注意する必要がある。また、喫煙による超過医療費の合計額が、国民医療費(309,337億円)に占める割合は4.2%となった。

というように、厚生労働省が所管する平成十三年度の厚生科学研究費補助金により行われた「たばこ税増税の効果・影響等に関する調査研究」(主任研究者油谷由美子)と報告されている。
このことから考えると、「たばこは国家財政に貢献している」という話は、かなり疑わしいと個人的には思う。実際の数値はわからないが、
たばこの国家財政へのメリット < たばこの国家財政へのデメリット
ということで、国会議員が言っている「たばこを吸って寿命を縮めているから老人医療の治療費の軽減にも貢献している。」という部分もあるかもしれないが、全体のデメリットをカバーするほどではないと言えそう。
そういう意味で、タイトルの答えとしては、
国家財政に貢献したいと願う国民は、禁煙すべき!
なんだと思う。

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