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理由
事件はなぜ起こったか。
殺されたのは「誰」で、いったい「誰」が殺人者であったのか―。
東京荒川区の超高層マンションで凄惨な殺人事件が起きた。
室内には中年男女と老女の惨殺体。
そして、ベランダから転落した若い男。
ところが、四人の死者は、そこに住んでいるはずの家族ではなかった…。
ドキュメンタリー的手法で現代社会ならではの悲劇を浮き彫りにする、直木賞受賞作。
書評・レビュー・感想
さすが直木賞受賞作。
しょっぱなからグッと物語に入り込まされた。
とてもわくわくする形で情報を差し出すのが非常にうまい。
そのタイミングがくるまで、伏線を張り、じっと待つ。そして・・・
ドキュメンタリー的手法というのがやはり全体的な愉悦を高めた土台になっていると思われる。
恩田陸のQ&Aに雰囲気は似ている。
1つの事実も、それを見る人の気持ちによって内容が大きく異なる。
人は、見たいものだけを見て、聞きたいことだけを聞くというのが人間の業なのだろう。
そしてそれには、人それぞれの欲望と欲望を満たすための行動が紐づいている。
欲望を満たすための行動を行う過程にその人となりが見える。
人としての優劣ではなく、属性の多様性として。
火車と同じようにさぶイボ間違いなし。
おすすめミステリーである。