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時代劇でおなじみの代官。悪の権化のように描かれてきた彼らは現代のサラリーマンであった。400万石の幕府の経済基盤を支えた代官を理解すれば、江戸幕府がなぜ270年もの間存続できたかが見えてくる。
商人から賄賂を受け取り、過重な年貢を強いる―時代劇などで悪の権化のように描かれ続けてきた「代官」。しかしその実態は、部下の不始末に悩まされ、頻繁な転勤や多額の借金に苦労しながらも、全国400万石におよぶ幕府直轄領(天領)の徴税システムを支えた「江戸の中間管理職」であった。1200人を超える江戸幕府の代官たちの経歴を丹念に調査。悲喜こもごもの実態を通して、幕府という組織の本当の姿を照らし出す。
書評・レビュー・感想
これは面白い!
江戸時代の「代官」に注目し、詳細に調べた内容がまとまっている。
代官というとなんとなくのイメージしかなかったが、江戸幕府の官僚としての代官がどのようなもので、どのような人たちがその役職についていたのか、そして代官は実際に何をしていたのかが事細かにわかる。
代官からどのように出世していくのかなどの具体例もあって楽しい。
享保の改革や寛政の改革、天保の改革などの幕政改革が代官に与えた影響もわくわくして読めた。
代官の転勤や陣屋での暮らし、勤務形態などは初めて知ることも多かった。
代官という中間管理職の日常がわかる一冊である。