下流老人 – 藤田孝典 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 5 分

年収400万でも、将来生活保護レベル!?今、日本に「下流老人」が大量に生まれている。そしておそらく近い未来、日本の高齢者の9割が下流化する。本書でいう下流老人とは「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」である。現在すでに約600万人が一人暮らし(うち半数は生活保護レベル)をしているが他人事ではない。間近に迫った「老後総崩壊」にどう対処すればいいのか?

第1章 下流老人とは何か
 下流老人とはいったい何か
  1:収入が著しく少「ない」
  2:十分な貯蓄が「ない」
  3:頼れる人間がい「ない」(社会的孤立)
 下流老人の何が問題なのか
  Ⅰ:親世代と子ども世代が共倒れする
  Ⅱ:価値観の崩壊
  Ⅲ:若者世代の消費の低迷
  ほか

第2章 下流老人の現実
 生活困窮者の現状/異口同音に「想定外」
  <ケース1>飲食店などで働くも、野草で飢えをしのぐ加藤さん
  <ケース2>うつ病の娘を支える永田さん夫婦
  <ケース3>事務職員をしてきた山口さん
  <ケース4>地方銀行に勤めていた藤原さん

第3章 誰もがなり得る下流老人
 ――「普通」から「下流」への典型パターン――
  【現状編】
   <パターン1>病気や事故による高額な医療費の支払い
   <パターン2>高齢者介護施設に入居できない
   <パターン3>子どもがワーキングプア(年収200万円以下)や引きこもり
   <パターン4>増加する熟年離婚
   ほか
  【近い未来編】
   「一億総老後崩壊」の時代
   もらえる年金が減るおそれ
   年収400万円以下は下流化のリスクが高い
   ほか

第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
 放置される下流老人
 努力できない出来損ないは死ぬべきなのか?
 イギリス、恐怖の「貧困者収容所」法
 ひっそりと死んでいく下流老人たち
 ほか

第5章 制度疲労と無策が生む下流老人
 ――個人に依存する政府――
  1. 収入面の不備
  2. 貯蓄・資産面の不備
  3. 医療の不備
  4. 介護保険の不備
  ほか

第6章 自分でできる自己防衛策
 ――どうすれば安らかな老後を迎えられるのか――
  【知識の問題:対策編】生活保護を正しく知っておく
  【意識の問題:対策編】そもそも社会制度とは何か
  【医療の問題:対策編】今のうちから病気や介護に備える
  ほか

第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
 以下流老人は国や社会が生み出すもの
 日本の貧困を止める方策は?
 制度をわかりやすく、受けやすく
 生活保護を保険化してしまう!?
 ほか

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書評・レビュー・感想

「下流老人」というキーワードは最近では誰もが知っているものとなっているが、著者も前書きで書いているが、高齢者をバカにしたり、見下したりする意図はなく、日本社会の実情を表すために作った造語である。言葉のインパクトにひっかかる人もいるかもしれないが、本書をよめばそれが誤解だと分かる。非常に丁寧に現状を分析している。

第1章と第2章で、下流老人はと何で、どのような日常生活を送っているのかがかがれている。ポイントは3つの「ない」であった。これは、収入が少「ない」、貯蓄が「ない」、頼れる人がい「ない」ということであった。

特に印象に残ったのは、第3章の下流老人に至る代表的なパターンである。これは本当にリアルで、こうやって「普通」から「下流」となるのかと想像したら怖くなった。これは誰もが下流老人になりえるし、今は「普通」でもいつ「下流」になってもおかしくないということがわかる。高齢期の長期化や子供のワープア、引きこもり、熟年離婚、認知症など事前に予測できない事柄も多い。だが、いつ誰がなってもおかしくはなく、自分は絶対にないと言い切れない怖さがある。

第4章と第5章では、下流老人を作る我々の「意識」と社会制度について書かれていて、どれも確かにその通りではあるが、すぐには改善しにくい非常に難しい問題であることがわかった。

第1章から第5章を踏まえた上で、どのようにしたら、個人レベルで「下流老人」にならずにすむのかについて書かれているのが6章である。

最後の第7章では、著者による制度や政策における提言が記載されている。

日本の高齢化が進み、社会保障費がどんどんと上がる中で、若年労働者が減り、国家収入が減っていく。そういった現状、未来の中で、制度疲労を起こした社会制度を修正していく難しさをひしひしと感じた。簡単に答えを出したりできる問題ではないが、なんとかしないことには、日本という国が破綻してしまう。

非常に大きな問題提起をしている本だと感じた。

良書!

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