薩摩義士伝 – 平田 弘史 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 3 分


薩摩義士伝薩摩義士伝

独特の武士魂が育った薩摩藩島津家。
家中には上級武士と下級武士の対立が根強くのこっていたが・・・
その薩摩藩に徳川幕府より、濃尾治水工事の命令が下った。
時代劇画の巨匠平田弘史が描く凄絶な大河ドラマ。

スポンサーリンク
レクタングル(大)広告

書評・レビュー・感想

なんだか絵に非常に力がある。
見ていて細部まで見たい!と思わせる何かがある。
本物の劇画を見ていると感じる。
著者のインタビューには・・・

――しかし、いたわりのない非情な世界が平田作品の特徴だと言われることもありますね。
 そう言う人がいるなら、それは、その人の読みが浅いね。その人の人生経験が浅いわけだね。いたわりのない登場人物がいるとして、「こういうことでいいのでしょうか?」と、読む人に問いかけている作者は非情な心で主人公を描いていると思いますか?
――『薩摩義士伝』では江戸幕府の薩摩藩に対する理不尽な仕打ち、また薩摩藩内の上級武士と下級武士の間の差別など、弱い者がさらに打たれる姿が描かれていました。
身分差別で成り立っていた武家社会は、そういうものだったのです。比較的安穏に暮らしている現代の日本人からすれば過激すぎて、読みたくない作品と思う人もいるでしょうね。それは御自由に決めてくださいな。薩摩では下級武士が上級武士に、ちょっとでも失礼なことをしたら、たちどころに斬り捨てられ、おまけに家族3人まで殺せた。そして「無礼を働いたから斬り捨てた」と紙一枚の届け出で済んだ時代でした。こうした身分差別を厳格に守ることで武家制度を安定維持しようとしてきたのでしょう。
 現代は士農工商のような身分差別はなくなったとは言え、学閥差別・学歴差別と、いろいろあります。差別と言うものはあって当たり前で、父と子の差別もなくなったら話になりません。水は上から下に落ちるのと同様です。しかし、上は尊く正しくて、下は下劣でダメと決めつけることは愚かな誤解です。上にある水も、下にある水も、どちらも尊いものに変わりはありません。
 みんなが互いに助け合って生きていく世の中にするにはどうすればいいのか。そういうことを考えるために学校で学ぶのはいい。楽して高給を得たいために有名校へ行きたい。と言うのは、すでに餓鬼道の世界へ踏み出しているようなもので、百害あって一利無しだね。

たしかに、本書では理不尽な仕打ちや差別などが描かれている。
そして現代の視点から見ると壮絶で非近代的であるが、その中にそこ読み取れるものがありそうな気がしている。腕や足がもげたり、首がとんだりする場面が頻繁に登場するが、リアルすぎて怖い。
1982年初出なので、25年前の作品であるが、力強くひきつける劇画である。
オススメ!
他の平田弘史作品もチェックしたい!

スポンサーリンク
レクタングル(大)広告
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
スポンサーリンク
レクタングル(大)広告

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です