クラウドからAIへ – 小林 雅一 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 4 分

秘書のように問いかけに応えるスマホ、自動運転車、ビッグデータ──。時代を読み解くキーワードは「クラウド」から「AI=人工知能」へ。人間が機械に合わせる時代から、機械が人間に合わせる時代が到来しつつある。IT、家電、自動車など各業界のAI開発競争の裏側を描きつつ、その可能性と未来に迫る。

 第1章 なぜ今、AIなのか?──米IT列強の思惑
 第2章 “知性”の正体──AIの歴史から見る、進化の方向性と実力
 第3章 “知性”の正体──AIが生み出す巨大なビジネス・チャンス
 第4章 “知性”の陥穽──AIにまつわる諸問題

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書評・レビュー・感想

もっと早く読んでおけば良かった。最近話題のAIを素人がざっと理解するのにふさわしい入門書だった。

インターネット上の入口の覇者は、「グーグル検索」であるが、モバイル・インターネットの入口の覇者はまだ流動的である。そこで覇権を争っているのが、米IT列強のGoogle、Facebook、Apple等である。そしてその覇権争いの肝になるのがAI(人工知能)であり、Googleは、「セマンティック検索」、Facebookは、「グラフ検索」、Appleは、「Siri」といった形でそれを具現化しているが、本書では、その概要がつかめるようになっている。

また、AIというのが最近登場した新しい技術ではなく、けっこう古くからある技術であり、その歴史の変遷についても述べられており、AIの軌跡を把握することができるようになった。

ざっくりいえば、AIは、「ルールベース」→「統計・確率ベース」→「ニューラル・ネットワーク」という軌跡をたどり、現在、主流となっているのが、ニューラル・ネットワークの「ディープ・ラーニング」AIである。

「ディープ・ラーニング」とは、情報の抽象度を段階的に上げていきながらなんらかの概念を獲得するものである。

なぜそのような流れになったのかは本書をみて頂きたいが、「ディープ・ラーニング」が現在、主流になったことには理由がある。それは、「ビックデータ」が利用できるようになったからである。過去にはこれほどの「ビックデータ」が利用できる環境にはなかったが、現在、それが可能になり、「ビックデータ」を持つ企業が「ディープ・ラーニング」AIの開発をより進めているという状況である。

ただし、「ビックデータ」さえあれば、誰でも「ディープ・ラーニング」AIの開発が行えるのかといえば、そうではない。「ディープ・ラーニング」AIの開発には複雑な計算を解く極めて高度な数学的知識やネットワークを介した分散処理、計算機としてのコンピューターの特性に対する高度な理解が必要で、そういった人材や機能がなければならない。だからこそ、「ディープ・ラーニング」AIの開発を進めている企業は限られてくるし、後から挽回することが難しいので、覇権争いは熾烈になっている。

これは単なるインターネット、ITの世界だけにとどまらない。なぜなら、AIが生み出す新しいビジネスチャンスは、自動運転や家庭用ロボット、介護ロボット、医療用代理ロボット、軍事ロボットなど幅広く広がっており、既存の自動車会社が上記のIT列強によって一気にやられてしまう可能性も秘めている。

特に囲碁AI「アルファ碁」などGoogleはこの分野の技術力では圧倒的となっており、自動運転車の開発もどんどん進んでおり、自動運転領域で日本の自動車メーカーの国際競争力が大きく失われる可能性もかなり高いのではないかと思う。

もちろん、本書では、AIにまつわる諸問題についても取り上げている。

たしかに話題になるだけある。AIはいろんなものを根本的に変えてしまう可能性を秘めている。

本書では、AIにまつわる諸問題を考えた上で、「ビックデータ」と「AI」を使ってどんな社会を作るべきかは、生身の知性を持った人間に託されているので、今こそ、AIの正体をきちんと理解しておこうという意味で書かれている。

非常にためになったし、勉強のきっかけになったと思う。

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