糖質制限の真実 – 山田 悟 (書評・レビュー・感想)

【この記事の所要時間 : 約 5 分

生活習慣病が激増している。その8割を占める糖尿病、高血圧、脂質異常症は、さらにガン、心臓病、脳卒中の三大死因につながっていく。特に糖尿病とガンの密接な関係を考えると、40歳以上の3人に一人が血糖異常者という現状は危機的だ。欧米人に比べ日本人は糖質に弱い。人間ドックで見落とされる食後高血糖を防ぐには、血糖値を上げる唯一の原因、糖質(炭水化物・果物・芋・豆等)をコントロールするしかない。そのための新しい食事法がロカボだ。巷にあふれる根拠に乏しい糖質制限とは違う、最新栄養学に基づく革命的食事法を徹底解説。

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書評・レビュー・感想

過去10年でいかに栄養学が激変したかについて書かれている。カロリー制限の限界と糖質制限の有効性を様々なレベルで述べた上で、ローカーボ(ロカボ)つまり糖質制限を薦めている。

栄養学の大きな変化のうち、特に大きなポイントとして以下の3つを挙げている。

 1.マウスやサルで証明されてきたカロリー制限食の有効性がヒトでは証明されず、逆にマウスやサルでは示されなかったカロリー制限食の有害性がヒトで示されたこと
 2.日本人での無作為比較試験で糖質制限食の有効性が確認されたこと
 3.日本人の観察研究で糖質摂取の少ない群での死亡率の低さが示されたこと

ここ数年流行っている糖質制限であるが、有名な糖質制限実施者が亡くなったこともあり、糖質制限に対する反対意見も出ているが、著者は、そういった反対意見に対してエビデンスレベルであり得ないと述べ、1980年代以前に医者になった人は、エビデンスレベルの概念を十分理解していない可能性を指摘している。

日本人の場合、糖質制限のほうがいいということは、エビデンスレベル1の証拠が揃った上に、レベル2の観察研究においても糖質摂取の少ない群で死亡率が低いと報告されており、もう決して動かない事実と考えてよいでしょう。いまだに時々、「糖質制限は危ないのでは」ということを言う人がいたり、記事が出たりすることがありますが、その方は正しい論文の読み方、解釈の仕方を知らないだけなのだろうと思います。

1980年代までに医者になった人たちは、医者になってから初めてエビデンスレベルという概念に触れることになりました。(中略)エビデンスレベルの概念を十分に学べていない可能性があると感じています。症例報告は研究報告よりも格が低いということくらいは見れば分かりますが、無作為比較試験と観察研究というエビデンスレベル1と2の違いが分からず、エビデンスレベル1の研究結果が出ているのに、2でまだ戦えると思ってしまう節があります。既にエビデンスレベル1の確たる結果が出ているようなことに対し、マウスのデータで異論を唱えたりする論調を見ると、「科学的根拠に基づく医療(EBM)」を学んだ立場からは強い違和感を覚えざるを得ないのです。

そして、この10年でかつて正しいと思われてきたことが間違いであったのであれば、今正しいと思われていることも、10年後には間違いと言われる可能性があるのではないか?という問いに対しては以下のように回答しており、納得感があった。

かつて正しいと思われていた栄養学は、エビデンスレベル2の”観察研究”で裏づけされていたものであり、何らかの思い込みや誤解を内に含む可能性が残されていました。一方、現在正しいとされている栄養学は、エビデンスレベル1の”無作為比較試験”で裏づけされているものです。そこでは、かつての研究であったであろう思い込みや誤解が除外できています。さらに日本人においては、大規模で長期にわたる観察研究(エビデンスレベル2)によっても、糖質制限が良いということが示されています。ですので、現在の栄養学を根底から覆すような研究が今後報告される可能性は、ほとんどないといってもいいのです。

これから先は認知症が発展途上の貧しい国で増えると予想されているとのこと。食べ物とエネルギーあたりの費用を考えると、貧しい国ほど安い穀類でエネルギーを摂ろうと考え、その結果、糖質を大量に摂取し、血糖の上下動が激しい日常生活を送り、結果、糖尿病や認知症が増えるということだった。

最近のココナッツオイル賛美についても苦言を呈していて、へーという感じだった。

ダイエットにはあまり興味はないが、健康な老後を過ごすためには、認知症にならないようにすることが大切だと感じており、「血糖の上下動が大きければ大きいほど、認知機能が低下する」という研究結果を見て、糖質制限は「あり」だなと感じた!

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